北口雅章法律事務所

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岡口基一裁判官への三つのアドヴァイス

 今回の,最高裁への分限裁判の提起は,どう考えても東京高裁長官にあるまじき,「軽薄な」「勇み足」だ。

 そうはいうものの,林道晴長官が決断したからには,「周到な根回し」,具体的には現最高裁事務総長(今崎幸彦氏)を介して,東京高裁長官OBの山﨑敏充判事,小池裕判事,戸倉三郎判事,及び深山卓也判事らには,既に根回しを済ませているであろう,と考えるのが誰しも考える「ヨミ」だ。
 
そうなると,岡口くんサイドでも周到な対抗措置を準備せざるを得まい。

 私が「推奨」する手立て(アドヴァイス;対抗手段)は,次の三つだ

1.審問期日(9月11日)に先立って,申述書(正本1通+副本15通)を用意して,最高裁書記官に送付して,事前に各最高裁判事に読んでもらうべし

 ここで重要なことは,申述書では,真っ先に行政手続法14条1項(不利益処分の理由の提示義務)の手続規制と,最高裁平成11年11月19日判決の趣旨(理由提示の慎重考慮担保機能)を強調することである。承知していると思うが,岡口くんの「弱み」は,いうまでもなく過去の行状(厳重注意処分の非行歴)にあるので,上記法令・裁判例を強調することは,本件懲戒申立書の「申立ての理由」に記載されている事実以外の理由・事情については,処分理由には援用できないこと( 「他事考慮(『実質的な余罪処罰』)をするでないぞ!」と)を確認・強調・牽制しておく意味は少なくないと思われる。
申述書を作成した後は,もしコネがあれば,藤山雅行元判事等,「有能な」裁判官OBにチェックしていいただくことが望まれる。)

 

2.「憲法学者」及び「労働法学者」から意見書を集めるべし。

 まず,「本件事案の要旨」に本件懲戒申出書を添付した「鑑定意見依頼書」を用意し,「憲法学者」に対しては, 「本件懲戒(申出)は,憲法が保障する裁判官の言論・表現の自由を侵害するものではありませんか。」と問い,「労働法学者」に対しては,「本件懲戒(申出)は,パワハラに当たりませんか。」と問う。
 インターネットで当該「鑑定意見依頼書」を公表・公募して,知り合いや,実質的な「教え子」を通じて,大学法学部・法科大学院で教鞭をとっている学者からの意見・コメントをなるべく多く徴求する。「要件事実マニュアル」に御世話になっている新人弁護士・司法修習生・法科大学院生であれば,各々指導教官に声をかけてもらって,協力者を募れば,皆さん,快く協力してくれるものと思われる。集めたコメントは,各学者が,自らの教え子に対し,学者として「リベラルな」意見を述べるべき立場からして,必然的に岡口くんに有利なものになると想定されるが,その中でも 「優秀で」「権威あるもの」を選別して,前記1の申述書に添付しておくこと。
(あくまでも,理論的に勝負すべきであって,嘆願書等を集めるのは逆効果。)

3.マスコミにリークすべし。

※「申述書の要旨」を事前にネットで公開し,弁護団を通じて,記者会見を開く。

※各「憲法学者」及び「労働法学者」の意見については,「結婚式での著名人から祝電の紹介」,あるいは,「葬儀のときの著名人からの弔電の紹介」の要領で,重要なものから手短に紹介すべし。

※このようにマスコミを利用しても,岡口くんのブログ(https://okaguchik.hatenablog.com/)によれば,彼の「夏休み中」に,東京高裁長官ご自身が,本件懲戒申出をマスコミにリークするといった「反則ワザ」(裁判官分限法11条,裁判官の分限事件手続規則7条,非訟事件手続法30条参照)をやっているので,当局の方では,文句はいえまい。

 

おわりに

 今回の件で,岡口くんの「唯一の望み」は,今の最高裁長官が,かつて明らかに憲法違反であるはずの裁判員制度を導入するにあたって,最高裁判事全員一致の合憲判決を導くために,あからさまな「反則ワザ」(権謀術策)を用いた竹崎博允氏ではなく,風見鶏のごとくに政権側に阿り,公正さを欠いた判断をしていた寺田逸郎氏でもなく,比較的公正な判断を期待できる大阪高裁長官出身の大谷直人長官だということだ。わが母校(旭丘高校)の先輩・山本庸幸最高裁判事(元内閣法制局長官)において,今回の懲戒申出を「忖度なく」公正な判断をしていただけるのであれば,「東京高裁長官ともあろう方が何をやってるのか? この忙しいときに!!」と顰蹙されるに違いない。