北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

伊藤詩織著 「Black Box」 が「妄想」である理由

 先般,『「志桜里』と「詩織」』と題するブログにて,
両「しおり」氏に向けて,「ウソをつくでない!」と投稿したところ,

「月光史郎」氏というブロガーから,
「Black  Box を読んだ上での感想だろうか?」との疑問が寄せられた。
「嘘の理由説明なし」とのことなので,説明しておきたい。

(なお,「志桜里」氏の「嘘の理由」については,
 私の過去のブログ(2017-09-10)「『イケメン弁護士を不倫相手』とする不貞の証明」
 https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=323 を探しだして,お読みいただきたい。)

 

 伊藤詩織(以下「詩織」という。)の著作である,「Black  Box ブラックボックス」 (文藝春秋)(以下「BB」という。)で描写されている,山口敬之氏の詩織に向けられた「性犯罪行為」が,詩織の「妄想」ないし「虚構」であることは明白である。その理由を整理すると,次のとおりである。

1.第1に,詩織は,薬物「デートレイプドラッグ」を使用した「準強姦犯」被害を訴えていながら,詩織が「知覚」した事実は,「強姦そのもの」であり,既に供述内容全体が破綻している。   

   具体的に説明すると,次のとおりである。
   詩織は,一方で,❶山口氏に対し「あの夜」,「意識がないまま強制的に性行為を行われ,肉体的にも精神的にも傷つけられました」とメールで訴え(BB106頁),❷詩織が主張する「デートレイプドラッグ」の作用である「記憶障害や吐き気の症状」が詩織氏自身の「性被害状況」と酷似していたことを述べ(BB66頁),❸幼馴染みの看護師の供述から「デートレイプドラッグ」の可能性があると読者に思わせ(BB68頁「幼馴染のS」,「たった数杯と二~三合のお酒で意識を失うことはあり得ない」),❹警察官に対しても「記憶障害」とその原因として,「デートレイプドラッグ」が考えられる旨の主張をしている(BB92頁)。これらの事情は,詩織が,当初の捜査段階で,「デートレイプドラッグ」を使用した準強姦被害を受けたという認識のもと,「準強姦」被害を訴えていたことを物語っている。
   ところが,その一方で,詩織がBBで叙述している経験事実は,「激しい痛みで目覚め」,「『痛い,痛い』と何度も訴えているのに」,「ありえない,あってはならない相手」が,性行為を止めなかったというのであり,「押しのけようと必死であったが,力では敵わなかった」,「(バスルームの鏡には)血も滲んで傷ついた自分の姿が映っていた」,「膝の関節がひどく痛んだ」というのである(以上につき,BB49~50頁)。しかも,整形外科医からは「凄い衝撃を受けて,膝がズレている。」などと診察された旨の記載がある(BB66頁)。もしこれが事実であるならば,山口氏には,「強姦致傷罪」が成立する。
   しかしながら,被害者が「意識のない」状態のもとで敢行され,かつ,犯行直後に血液検査・薬物検査を実施しなければ証跡の残らない「準強姦」と,被害者の「意識があり」,暴行・脅迫を手段とし,被害者の抵抗を抑圧して敢行される「強姦」とでは,犯罪類型が全く異なる。特に本件の場合,詩織の主張(妄想)によれば,山口氏の暴行により「右膝」等に傷害を受けたというのであるから,このことだけでも「準強姦の枠組」を完全に超えている。もし仮に,詩織がBBに書いていること,すなわち,「客観的・法律的には強姦致傷の事実」を真に「知覚し」,「詩織の認識として」警察に訴えていたならば,警察が山口氏を被疑者として強制捜査を開始しないわけがない。たとえ警察への被害申告が遅れ,告訴の時点で傷が治癒していたと仮定しても,(痕跡が残らない薬物とは異なり)傷害の事実(強姦「致傷」の事実)については,医師のカルテと,医師の供述によって容易に証明できるからである。この意味で,準強姦では検挙不能でも,強姦致傷では容易に検挙・立件できるはずである。それにもかかわらず,警察が山口氏を強姦致傷で検挙しなかったのは,何故か。実際には,強姦致傷の事実など詩織の「妄想」であって,詩織自身が,実は,当初,BBに記載された態様の強姦被害を警察・検察に訴えていなかったからに他ならないと考えられる(このことから,強姦致傷の事実については,後から詩織が「捏造」したことが強く疑われる)。ちなみに,BBによれば,担当警察官の「A氏」から詩織が聞いた話として,A氏が担当の「検察官に相談したところ,いきなり,『証拠がないので逮捕状は請求できない。…』と言われた」とあるが,これは「『準強姦罪の』証拠がない」という意味である。

2.第2に,仮に百歩譲って,詩織が,実際には,BBに記載された態様の強姦致傷の被害を「知覚し」,かつ,警察・検察でも,その旨の被害事実を申告していたと仮定しよう。それでも,詩織の「強姦被害」後の行動は,「通常の強姦被害者」のそれとは全く解離しており,大きく矛盾している。

   まず,通常の強姦致傷の被害者は,真に強姦被害に遭遇すれば,ホテルの部屋を出た直後にフロントに直行し,ホテル従業員に対し泣く泣く強姦被害を訴え,その従業員は,即座に警察に通報したはずである。ところが,詩織は,ホテルにも強姦被害を訴えていないし(BBには,その旨の記述がない。),詩織が警察に「準強姦」の被害申告をしたのは,「事件から五日が経過」した時点である(BB72頁)。
   その間,詩織は,「強姦」に起因する「膝の怪我を理由に会社を休んだ。」と述べているが(BB70頁),詩織は,「友人R宅」で,「親友のK」とRに対し「私は,『準強姦にあったかもしれない』と話した。」と述べている(BB71頁)。しかしながら,「レイプは魂の殺人である。」(BB254頁)と高言する詩織が,しかも, 「ありえない,あってはならない相手」から「性暴力」を受けている状況を「目の当たりに」「知覚」し,かつ,会社を休むほどの「膝の怪我」を訴えているにもかかわらず, 『(準強姦にあった)かもしれないなどと,「自らの性暴力被害の成否」について,「間の抜けた」「自信のない」発言をするわけがない。ここには,詩織がBBで描写している性暴力被害の内容(BB53頁では「(山口氏からの性暴力場面で)…この瞬間,『殺される』と思った。」とまで書かれている。)と,性被害の受けた後に詩織の友人達に述べた発言内容(『(準強姦にあった)かもしれない』)との間に,明らかな解離・矛盾が認められる。
   さらに,詩織は,「強姦被害」に遭った二日後,「強姦の加害者」であるはずの山口氏に向けて,「無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどの様な対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。」といった「親睦」のメールを送信している(BB70頁)。実は,このメールでは,「無事ワシントンへ戻られましたでしょうか?」の前には,「山口さん,お疲れ様です。」といった「詩織にとって不都合な」「枕詞」がついており,BBでは,このことを意図的に隠すべく,省略しているのであるが(山口氏の独占手記「私を訴えた伊藤詩織さんへ」Hanada-2017年12月号267頁参照),この点をひとまず措くとしても,「正常な神経」をもつ「強姦被害者」は,性暴力被害を受けた後は,性暴力の加害者に連絡し,交信しようなどとは100%思わないし,まして,「強姦の加害者」が上司にいる職場で働こうなどとは絶対に思わない。このように詩織が山口氏に対して「無事ワシントンへ戻られましたでしょうか?」などと山口氏の無事・安否を気遣う「親睦」メールを発信していること自体でも,詩織が「強姦被害者ではない」ことが如実に示されている。

3.第3に,時間経過との関係でも,詩織がBBで描いた「性被害」には無理がある。

   BBによれば,詩織と山口氏が「恵比寿南の交差点付近」でタクシーに乗車したのは,「金曜日の午後十一時過ぎ」であるから(BB203頁),遅くとも同日十二時前にはホテルの部屋に到着したことが窺われる。もし仮に,山口氏が詩織の主張するとおり,「デートレイプドラッグ」を使用して,詩織を酩酊させ,意識不明の状態のもとで,「準強姦」を計画したと仮定しよう。通常は,ホテル到着後まもなくの時間帯,詩織の意識不明の状態に「犯行に及ぶ」のが通常であろう。ところが,詩織のストーリーによれば,山口氏は,詩織が「酩酊」と「睡眠」から覚めそうな「午前五時台」の時間帯(BB92頁),つまり,犯行が最も発覚しやすい時間帯を選んで「準強姦」に着手し,途中で,「痛み」で目を覚ました詩織を前に,「強姦」に転じて,犯行を継続させた,ということになる。このような「間の抜けた」「準強姦犯」など,およそ社会常識ないし一般感覚から外れている。

4.第4に,詩織がBBで描く「強姦」被害の状況も,社会常識ないし一般感覚からは解離した, 矛盾だらけで,非常に出来の悪い「創作」といわざるをえず,著作者(ゴーストライターを含む。)が「論理的な思考力」に問題を抱えているものと疑わざるを得ない。

   まず,詩織が「激しい痛みを感じたため」に「目を覚ました」ときの状況について,BBでは,次のとおり叙述されている(BB49頁以下)。「部屋のベッドの上で,何か重いものにのしかかられていた。」,「下腹部に感じた避けるような痛み」,「目の前に飛び込んできた光景で,…目覚めたばかりの,記憶もなく現状認識もできない一瞬でさえ,ありえない,あってはならない相手であった。」,「『痛い,痛い』と何度も訴えているのに,彼は行為を止めようとはしなかった。何度も言い続けたら,『痛いの?』と言って動きを止めた。」と。もし,ここに記載されている状況のもとで,目を覚ました強姦被害者は,100人が100人,『痛い,痛い』などとは訴えない。『キャーッ!!』,『ウァー!!』といった悲鳴なり悲痛な叫び声とともに,『止めてください!』と懇願するだろう(もちろん,あまりのショックと衝撃に「言葉を失う」被害者がいてもおかしくない。)。少なくとも,女性心理に関する,私の如上の考察を複数名の知人女性に確認したところ,彼女らも,私の考察の正しさを認めた。性暴力被害に直面するといった非常時に,『痛い,痛い』と何度も「間の抜けた」痛みを訴えるのは,詩織ぐらいなものではなかろうか。
   次に,BBによれば,詩織は,山口氏に「トイレに行きたい」と言って,「トイレに駆け込んで鍵をかけたが」,その後,「意を決して(バスルームの)ドアを開けると,すぐ前に山口氏が立っており,そのまま肩をつかまれて,再びベッドに引きずり倒された。」というが(BB50頁),その後の事実経過の叙述について,私は,これを頭に思い描くことができない。BBによれば,「体と頭は(ベッドに)押さえつけられ,覆い被されていた状態だったため,息ができなくなり,窒息しそうになった」というのであるから(BB51頁4行目),このとき山口氏は,背後から詩織の後頭部をベッドに押さえてつけていたことになり,詩織は「うつぶせ状態」のはずである。ところが,詩織は,この「うつぶせ状態」で,「必死に体を硬くし体を丸め,足を閉じて必死で抵抗し続けた。」と叙述しているのであるから(同頁8行目),このとき詩織は,「うつぶせ状態」で抵抗しているのか,「正常位」で抵抗しているのかがわからなくなる。が,それに続く一文では,「頭を押さえつけていた手が離れ,やっと呼吸ができた。」とあるので,終始,「うつぶせ状態」で「後頭部」をベットに押さえつけられていたのかな,と思って読み続けると,それ続く文章(同頁9行目以下)は,「『痛い。やめてください』(との発言に対し)山口氏は,『痛いの?』などと言いながら,無理やり膝をこじ開けようとした。」とあるから,ここでは「正常位」が前提の叙述になっている。
   要するに,BBの著作者が描く性暴力被害の状況は,詩織の「うつぶせ状態」と,「正常位」とが混在しているのであって,支離滅裂である。                              
                                                              
5.第5に,詩織が,「(準)強姦」に起因して発生したと訴えている傷害被害は,❶「乳首」の傷害と,❷「右膝」の挫傷,及び❸「PTSD」であるが,いずれについても不可解である。

   各傷害の該当箇所を指摘しておくと,❶「乳首の傷害」:BB50頁「(バスルームの大きな鏡に)体のところどころが赤くなり,血も滲んで傷ついた自分の姿が映っていた。」,BB55頁「あざや出血している部分もあり,胸はシャワーもできないほど痛んだ」,BB108頁「乳首はかなり傷つきシャワーを当てられないほどでした。」,❷「右膝の挫傷」:BB65頁「右膝が激しく痛み,歩けないほどになっていた。」,66頁(整形外科医の発言)「凄い衝撃を受けて,膝がズレている。」,❸「PTSD」(心的外傷後ストレス障害):BB232頁「PTSDの診断」,BB233頁「PTSDの発作」,BB151頁「突然起きるPTSDの症状」である。
   まず,上記❶の「乳首の傷害」については,「準強姦」の場面で,「乳首」に「出血」を伴うような傷害を与える性暴力の加害者はいない。すなわち,被害者は酩酊等で意識を失っているのであるから,性暴力の加害者は,抵抗抑圧の目的で暴行・傷害を加える必要がないのであって,意識不明の女性を姦淫する際に,「乳首」に傷害を負わせたとすれば,それは,猟奇的な変態趣味ないし変質者の領域の問題である(詩織は,事件後の山口氏とのメール交信記録で,このような傷害被害を全く訴えていないし,そのような「変態趣味」の被害を訴えること自体が山口氏の人格を冒涜するものである。)。また,BBで叙述された詩織が翌朝目覚めてからの暴行でも,胸部に傷害を惹起するような態様のものは皆無である。したがって,上記❶の「乳首」の傷害は,明らかに詩織の創作・虚構だとわかる。
   次に,上記❷の「右膝の挫傷」についても,「足を閉じて必死に抵抗し続けた。」(BB51頁)というのであるから,右側に衝撃性の外力は加わらないはずである。また,「無理やり膝をこじ開けようとした。膝の関節がひどく痛んだ。」(BB同頁)の記述部分から,膝に外傷が生じたというのであれば,当該傷害は左右両側性に生ずるはずであって,「右膝」に限局した傷害が生じたという事態は,やはり矛盾がある。
   さらに,上記❸の「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」についても,心的外傷を受けた患者は,当該「事件」を想起させるものについては, 極力・全面的に「回避」行動をとるのが特徴である(「日本トラウマティック・ストレス学会」のホームページによれば,PTSDは,「出来事に関して思い出したり考えたりすることを極力避けようしたり、思い出させる人物、事物、状況や会話を回避します。」とされている[http://www.jstss.org/topics/01/参照])。
   ところが,詩織の場合,自らの体験談を自著BBで詳細に述べ,マスメディア等に頻回に出演などし,全国各地,全世界をまたにかけて,自らの体験談を公然と語っているのであって,本来の「性暴力被害」により「心的外傷(トラウマ)」を受けた性暴力被害者の行動とは,全く相容れない

 BBが扱っている「性暴力被害」事件については,目下,裁判係争中であるため詩織の言論活動に関する批判については,前記のとおり, 「BBの記述自体から」客観的・外形的に指摘できる矛盾点・不合理にとどめざるを得ず,その他の関係証拠を踏まえた批判・評価は控えたが,裁判で提出されている他の証拠に照らせば,詩織の虚偽・虚構・妄想は,上記の指摘事項にとどまるものではないことを付言しておく。例えば,BB78頁~80頁では,❶「四月十五日に,捜査員A氏と,シェラトン都ホテルを訪ねた。…,ホテル入口の映像を確認した。」とした上で,「確認した映像には,タクシーから降りる山口氏の姿が映っていた。…山口氏は,やがて上半身を後部座席に入れて私を引きずり出した。そして,歩くこともできず抱えられて運ばれる私の姿を,ホテルのベルボーイが立ったまま見ていた。」と叙述した上で「私は鳥肌が立ち,吐き気に襲われた。」と述べ,❷高輪署にて,再度ビデオを確認したときは,「山口氏に抱えられた私は足が地についておらず,前のめりのまま,力なく引きずられ,エレベーターの方向へ消えていった。」とも叙述している。しかしながら,私は,当該監視ビデオの映像を動画で確認したが,「歩くこともできず抱えられて運ばれる私(詩織)の姿」,「足が地についておらず,前のめりのまま,力なく引きずられ」る詩織の姿など,どの映像からも全く確認できなかった。

 以上のとおり,詩織が主張する,山口氏による性暴力被害が,全くの虚偽・虚構に過ぎないものであって,それが単に彼女の精神的なパーソナル障害に由来する「妄想」であるか,悪意に基づく「悪質な捏造」によるものかはともかく,BBの出版自体が,山口氏の名誉・社会的信用を著しく毀損する犯罪的行為であることは,お解りいただけたものと思う(刑事告訴を予定している)。

 

 それとともに,賢明なる私のブログの読者は,既にお気づきのことと思うが,私は,単なるBBの一読者ではない。詩織が山口氏を訴えた裁判について,今般,山口敬之氏側から訴訟代理の委任を受けた弁護士である。

 以上から明らかな,伊藤詩織による悪質な名誉毀損行為の数々を踏まえ,現在,様々な法的手続を準備・検討中であるが,その準備の過程でも,詩織をめぐっては,いろいろな動きがみられた。

例えば,先般,札幌弁護士会が,明日10月2日に,伊藤詩織をコーディネーターに呼んで,シンポジウム「性暴力被害者の声はなぜ社会に届かないか」を企画・主催するとの情報を得た。そこで,私は,早速,札幌弁護士会に電話し,「裁判で係争中の案件で,一方当事者に,一方的なことを語らせて大丈夫ですか?」と疑問を投げかけたところ,同会の副会長が電話口に出て,答えた。
「大丈夫です。裁判で係争中の案件であることは十分に承知しておりますので,本シンポジウムでは,彼女には『事件』のことについては,一切触れさせないつもりです。彼女をコーディネーターに呼んだ理由は,『性的暴力の被害者』としてではなく,あくまでも『性的暴力被害を公に訴えた方』ということですから。ご安心ください。」と。
さすがは札幌弁護士会だ。心得てみえる。

真実は,こことは別に,ある。