北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

エース登場! 宇賀克也・東大教授の最高裁入り

超久しぶりの朗報だ。
宇賀克也・東大大学院教授(行政法)が最高裁判事に!!

藤田宙靖・前最高裁判事(東北大学大学院教授・行政法)の
御退任の後,ハア?? といった衝撃の最高裁人事があり・・
なんやねん! 最高裁に「学者枠」は無くなったのか?!
と,悄然としていたところで,・・・

 

岡口基一判事の分限裁判での「アノ衝撃の」最高裁大法廷決定を
目の当たりにして,もはや私の中では,
「絶望の最高裁判所」と変わり果てていたところで,
今回の朗報人事。

東大教授だからイイ!!ってな訳ではない。
元東大教授でありながら,元東大教授にあるまじき輩は,
枚挙に暇がない。
(特に,司法「改革」と称して,日本司法を劣化させた輩ども!)

私が大学時代,宇賀先生は未だ助教授だった。
直接,教えを受けたことはないし,
キャンパス内でお顔を見かけたこともない
(多分,アメリカにて留学されていたと思う。)

が,宇賀先生の論文・論考・教科書を読めば,
その実力と碩学ぶりは,
前任の「某」とは「格が違うことくらい,
母校の末席を汚した経験のある者であれば,一目瞭然だ。

宇賀先生の教科書の論旨は明解であり,
その学説の結論は常識的であり,説得力があり,どれも納得できる

おお!!,さすがに東大教授は『違う』なぁ・・・
と,私が,もっとも感銘を受けた卑近な例の1つは,
東京地裁平成19年6月24日判決(判例時報1978号27頁)
(裁判長裁判官・矢尾 渉,裁判官・梶 智紀,裁判官・今井勇介)についての
判例評釈(判例時報1990号164頁)を読んだときだ。

宇賀先生曰く
「本件判決は,保有個人データの本人は,個人情報保護法25条1項に基づき個人情報取扱事業者に対して保有個人データの開示を裁判上請求する権利有しないと解している。これは,評者が確認した立法者意思に明らかに反するのみならず,実際上,かかる解釈は,個人情報保護法の開示・訂正・利用停止の求めの制度の実効性を大きく損なうものでありわが国の個人情報保護法をグローバル・スタンダードから著しく乖離した脆弱なものにしてしまうことになり,その影響がきわめて懸念される。」
一刀両断に批判した上で,個人情報保護法の緻密な解釈論を展開されている。

矢尾裁判長は,最高裁調査官の経歴もある秀才・エリート判事である。
この秀才判事の解釈論をズタズタ・完膚なきまでに批判される凄さ・鋭さは
法科大学院制度の維持にウツツをぬかし,
法科大学院生に対する「法曹養成に役立たない」教育のため,
「研究」が疎かとなっているであろう,多くの巷の研究者らとはレベルが違う。

今後,アホな高裁判決を受けても,
依頼者を説得して上告受理申立てをした場合において,
もしも「3分の1の確率」で,
宇賀先生が配属される最高裁小法廷(第3小法廷か?)に事件が係属すれば,
ひょっとして,補足意見,あるいは反対意見を書いてくれるかもしれない,
という期待がもてる。

宇賀先生が主任となられた事件で,
最高裁調査官が出来の悪い調査報告をあげれば,
「アホ!,やり直せ!!」と一喝されるに違いない。
したがって,最高裁調査官にも刺激となり,
その職責を果たすために,真剣勝負を余儀なくされることになるであろう。

もしも宇賀先生が,岡口判事の分限裁判の審理に携わってみえたならば
あんな「ラストストロー理論」を唱えようものなら,
「あのう。もうちょっと,行政法を勉強してください!!
 行政手続法15条を勉強されましたか???」
と,たしなめられたであろう。
ひょっとして,結論が覆ったかもしれない。

東京高裁長官出身の最高裁判事らは,

宇賀先生から,「最高裁が,こんな恥ずかしい手続違反をするのですか!?」

と批判を受ければ,「グーのね」も出なかったであろうから

このたびの人事ニュースは,
このような「暗黒裁判を行う」「絶望の最高裁判所」から放射された一筋の「曙光」ではあるが,
ちょっと嬉しい「希望」をもたせてくれる人事であった。

 今後の最高裁判決に要注目!!

 

※追記 

実際はどうなることやら?・・disappointing !! (令和1年8月22日記)