北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

木ノ元直樹先生(弁護士)に脱帽

 われわれ弁護士,特に医療過誤訴訟等の専門訴訟に携わる弁護士は,非常にプライドが高い。したがって,受任事件で敗訴しようものなら,「プライド」が傷つけられたと思う。特に,当方が,相手方当事者の欺瞞的な主張を徹底的につぶし,強力な専門家集団をバックに合理的な主張を展開しているにもかかわらず,裁判官が生半可な理解で,いい加減な判断をくだそうものなら,「この裁判官は,判断能力がないから裁判官を辞職させた方がいいのではないか。」などと本気で思う。そして,「沽券(こけん)」にかけて,依頼者に不服申立てするよう説得し,もし上訴(不服申立て)について,依頼者の了解をえられたときは,上訴するとともに,上訴理由書の中で,当方を敗訴させた原判決の判断を徹底的に批判・攻撃し,ボロボロにけなす。
 怒ったときの法律家の文章は,非常に攻撃的で,気の弱い裁判官など卒倒してしまうのではないか?とまでは思わないが,舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判する(もっとも,大抵の裁判官は「鉄面皮」なので,弁護士からの批判など「屁」とも思わない。)。

 私も,これまで,敗訴判決を書いてくれた裁判官に対しては,情け容赦なく,徹底的に批判する書面をいろいろ書いてきた。が,今般,木ノ元直樹先生の下掲・上告受理申立て理由書の一文に接したとき,思わず「脱帽」した。しかも,これだけボロボロに原審を貶した上で,最高裁で破棄判決(平成19年4月3日第3小法廷判決/平成18年(受)第1547号)を勝ち取るところがエライ!。

                 記

 曰く「原判決には,判示の前後関係,文脈,医学用語の定義,診断基準等に照らし,明らかに意味不明,理由不明の箇所が多数存在する。そもそも,原判決は,客観的証拠に基づかない採証法則違反医学専門的経験則とは全く異なる独自の論旨を展開するとの経験則違反,弁論主義違反,釈明義務違反等,さまざまな法令違反が認められる特異な判決と言えるが,客観的証拠もないままに裁判官が偶々聞きかじった医学的知識のみに基づきしかもそれ自体が不正確な知識である),強引に結論を導き出そうとしたがために,これら法令違背を積み重ね延いては『理由不備』『理由齟齬』の上告理由を構成するにまで至っているのである稀に見る杜撰判決である。」