北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

たまに思い起こしたい「雨にも負けず」

今の家庭・小学校では,子ども達に
宮沢賢治の「雨ニモマケズ・・・」
日本人の「美徳」として,教えているのだろうか。
われわれの世代は,昔,全文を暗唱していたが。
昨今は,日本社会も日本人も,様変わりしてしまったようだ。

 

雨ニモマケズ 風ニモマケズ
降れば土砂降り。河川は,氾濫し,深刻な水害発生
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 
冬と夏は,エアコンなしでは生きていけない。
丈夫ナカラダヲモチ
体は萎え,心は病み…
慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル
欲しかなく,いつも怒ってばかりで,けっして笑わない。
一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
日々,農薬まみれの輸入食材と,コンビニ弁当で凌ぎ
アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ
すべて自己中心的で,物事を自分の尺度・モノサシで計り
ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ
全てを曲解し,本質を理解せず,そして認知症患者のごとく直ぐ忘れる
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
小さな「ゴミ屋敷」を住処とし
東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ
東に,被虐児がいても,誰も,児童相談所に通報せず
西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
西に,疲労困憊した老婆がいても,誰もが見て見ぬふりをし
南ニ死ニサウナ人アレバ 
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
南に,「死にたい」という人がいれば,注射で安楽死させてくれる医師がいて
北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ
北に,紛争や訴訟があれば,「私に任せなさい」という弁護士がウジャウジャいて
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
独りのときは,ボオッとしていて
サムサノナツハオロオロアルキ
寒い夏などないが,トボトボ歩き
ミンナニデクノボートヨバレ
皆が,互いを「木偶の坊」と罵り合い
ホメラレモセズ クニモサレズ
決して褒められもせず,むしろ疎まれ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ
そんな日本社会に誰がした!?

宮沢賢治は,「決シテラズ」と,「怒」に「」の文字を当てているので,仏教徒だったことがわかる。いうまでもなく,「(とん)・(じん)・(ち)」(貪欲・憤怒・迷妄)は,仏教では,克服されるべき「三毒」とされているからだ。
・・・と思って調べると,やはり,「雨ニモマケズ・・・」の後に,
「南無無辺行菩薩・南無上行菩薩・南無多宝如来・南無妙法蓮華経・南無釈迦牟尼仏・南無浄行菩薩・南無安立行菩薩」と続き,彼は,法華経に帰依していたらしい。
やはり,円空に近い人物でしたか。