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ベネズエラの主権は侵害されたか?
- 2026-01-07
国際法上、かつての「絶対免除主義」(国家活動と国家財産はすべて他国の裁判権から免除される)は、19世紀末から国家活動領域の拡大ともに望ましくないと考えられるようになり、国家活動を主権的行為(権力行為)と業務管理行為(商業行為)とに分け、前者にのみ裁判権免除を認めるようになった。これを「制限免除主義」と呼ぶ。そして、米国政府は、1976年の外国主権免除法で制限免除主義の採用を打ち出した(大沼保昭「国際法」東信堂162頁参照)。

制限免除主義の立場からすれば、「麻薬テロ」の嫌疑で、他国の大統領を逮捕(「軍事的拉致」)しても、主権侵害とまではいえまいが、「機関銃や破壊装置の所持」を摘発する、という限度では国家主権を侵害しているのではないか。
他国の大統領逮捕についても、特殊部隊の作戦準備の段階から、司法官憲の令状が予め発付されていて、地方裁判所と検察との申し合わせだけで(弁護人の都合など無視して)、第1回公判期日も逮捕前から決められていた……ということか?
大統領が逮捕され(3日)、そのわずか2日後、第1回公判(5日)にしょっぴかれ、弁護士選任・選別の時間的余裕を与えず、弁護士との打合せ時間も殆ど与えない。恐るべし、問答無用の米国刑事司法。


