北口雅章法律事務所

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円空作「観音菩薩座像」の出自

私の手元にある円空作・観音菩薩座像(レプリカ)の出所はどこか?

 

円空は,東海地区の至る処,民家に同種・観音菩薩座像を残しているが,あるいは,岐阜県の最北端に位置する神岡町ではないか? 

 

最近,手に入れた古書「神岡の円空仏」(岐阜県吉城郡神岡町教育委員会[現・飛騨市] 平成10年10月12日発行)を見て,そのように思った。

この本からも,円空が,神岡町内の各地で,同種の観音菩薩座像を残していたことがわかる。「神岡町も…の従業員減少に伴い,町内より転出者が多く,居住者のいない集落すら存在するような現状となり,それに伴い貴重な文化財である『円空仏』も神岡町から町外へ数体移動している。」とのこと(今から,20年以上も前から,既に,貴重な文化財の散逸が始まっていた!)。

以下の,円空作『観音菩薩座像』は,いずれも上記書籍から,

 

書籍「神岡の円空仏」のいいところは,本書の前文で,本書は円空仏の芸術的な写真集ではなく,文化財審議委員が写真撮影と測図を行い,神岡町内の円空仏保存記録を目的とした図録集である」と書かれているとおり,その正確性と網羅性にある。流石に教育委員会が発行しているだけのことはある。1つ1つの円空仏について,正面・側面・背面から撮影が行われ,各々の写真が別途・図示されて,正面像・側面像において縦幅・横幅の計測値が書かれ,かつ,背銘に墨書がある像については,その墨書の内容が克明に筆写されている。

円空学会におかれては,是非とも,地域の文化財審議委員会と連携して,このような「保存記録」を全国規模で作成してもらいたい(現・円空学会理事長は,時折,私のブログを読まれているとのことなので,このブログの趣旨をご理解いただき,重ねてお願いしたい。)。