北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「安倍元首相・凶弾事件」の真の動機・目的は何か?

佐伯先生は,「安倍元首相・凶弾事件」は,「リベラルな秩序の崩壊」とその根底にある「『保守の精神』の衰退」と無関係ではない,と宣われた。
だが,私には,それらの時代背景が関係しているとは思わない。

 佐伯先生の上記ご見解の前提には, マスゴミによって矮小化された私的な動機,すなわち,「私怨」が襲撃犯人の動機であるとみなされ,帰結としての「政治的影響の大きさ」との「不均衡」「不釣り合い」という構造が自明の前提とされてしまっている。

 確かに,単に統一教会による「母親の洗脳」によって,「家族が崩壊」させられたという「私怨」だけが動機であったのであれば,帰結としての「政治的影響の大きさ」との「不均衡」「不釣り合い」は否めないであろう。
 しかしながら,事件後,「統一教会」の悪業の重大さ,社会的な悪影響の深刻さが次々に暴露され,安倍元首相を含む数々の国会議員らと統一教会との密接不可分な関わりもが次々に「表沙汰」にされ,「俎上」にのせられ,現実に,教団に対し,相当程度のダメージを与えつつあることも事実だ。もしも山上徹也による「安倍元首相・凶弾事件」の真の目的が,「邪教集団の告発=撲滅」,あるいは少なくとも大打撃を与えることにあったとすれば,それ相応の社会的な意義があったというべきであるし,現にそれなりの成果をあげつつあることに照らしても,単なる「私怨」が動機だったとは即断でないであろう

 

「現代の哲学者ベレティ」氏のYouTube動画を見ると,彼の指摘するように,山上徹也の「安倍元首相・凶弾事件」の動機が,単なる「私怨」に矮小化されてはならないことが理解できる。すなわち,山上徹也の真の動機については,事件の直前,彼が米本和広氏(ジャーナリスト)に宛てた手紙と,それに先立つ同氏設営のブログへの彼の投稿から,ある程度,読み取ることができる。

 

 彼の犯行の真の目的は,「統一教会の撲滅」にあり,そのために彼が考えた,彼に出来る最も有効な方法は,統一教会の「一部幹部の襲撃」ではなく(これだけでは,「邪教の撲滅」に至らない。),「日本で最も影響力のあるシンパ(広告塔的存在)」を「見せしめ」的に襲撃し,もって,教団の悪事を「暴露」「告発」することにあったという。その標的として,最も相応しい人物が,安倍元首相だった,というわけだ(「現代の哲学者ベレティ」氏は,その目的の中に,統一教会の信者・家族の(邪教からの)「解放」も含めるようだが,そこまで含めるのは無理であろう。)。

 

「現代の哲学者ベレティ」氏の動画のうけ売りではあるが,
「刑事弁護人の目」をもって山上徹也の「安倍元首相・凶弾事件」における真の動機を,事件の直前,彼が米本和広氏(ジャーナリスト)に宛てた手紙と,それに先立つ同氏設営のブログへの彼の投稿から探ってみることにしたい。

 

山上徹也は,カルト二世の被害を描いた「カルトの子 盗まれた家族」の著作で知られる米本和広氏(ジャーナリスト)に宛てて手紙を書いていた。

米本氏は,「火の粉を払え」と題するブログも書いており,
山上は,この米本氏のブログにコメントを投稿しており,上記手紙は,山上の米本氏に当てたブログのコメントの続きになっているので,このブログと手紙の内容の骨子を時系列に整理すると次のとおり。

一人の狂人(※注:教祖のこと)の誇大妄想,際限なき欲望,病的な自己愛が為に金を奪い,家族を奪い,幾多の個人の人生を狂わせたのは万死に値する罪ですよ。そんな悪の権化を今日も『○○様』と崇め奉り国会議員すら参列させ『勝利!』(略)と宣言する世の中な訳です。必要なのは許す事でも忘れることでもない。彼等の罪を償わせること。」

統一教会が信者を犠牲に築いて来た今を破壊しようと思えば,最低でも自分の人生を捨てる覚悟がなかれば不可能ですよ。(それは米本氏も身を以て知っているはず)」

「統一教会が滅んで悲しむのはこの世に害なす事が生き甲斐の者しかいない。何の遠慮がいろうか? 我,一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん
         
(以上,2020年12月12日の書込から抜粋)

 

ヒトラーやスターリンに並べるべきなのは言うまでもない。統一教会の所業が彼らに比肩し得る人類に対する罪レベルだからだ。こんなもの(統一教会)が今の今のまで存在する事は人類の恥としか言いようのない汚点だ。」

復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?」

(以上,2020年12月16日の書込から抜粋)

 

(そして,米本氏に宛てた手紙へとつづく)

 

「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。 母の入信から億を超える金銭の浪費,家庭崩壊,破産…
 この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。」

安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会のシンパの一人に過ぎません。」

文一族を皆殺しにしたくとも,私にはそれが不可能…
 韓鶴子本人,無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが,鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか,或いは統一教会が再び結集するのか,どちらにしても私の目的には沿わないのです。」

 

統一教会の今を破壊しよう」,「彼等の罪を償わせること」,「我,一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん」,「(統一教会)が存在する事は人類の恥」,「安倍は,現実世界で最も影響力のある統一教会のシンパの一人に過ぎない」等のフレーズから,「安倍元首相・凶弾事件」の動機が窺われる。特に「ヒトラーやスターリン」に比肩すべき,「人類に対する罪」,「存在する事」自体が「人類の恥」と断定する思いは,「私怨」=彼個人・その家族だけの問題でないことが如実に示されている。

 だが,彼は,安倍元首相を銃撃した際,自身がSP(警視庁警備部警護課)に拳銃で射殺されることは考えなかったのか? その場で射殺されれば,真の動機(統一教会の邪教たる由縁とその撲滅の必要性)を語る機会がなくなるのではないか。あるいは,そのためにこそ,米本和広氏(ジャーナリスト)に宛てた手紙の中で,安倍元首相・銃撃の一端を伝えておいたのであろうか。だが,それだけでは,不十分であろう。よくわからないところも多いが,安倍元首相の選挙演説のスケジュール変更等に翻弄されて,彼には,あれこれ考える余裕はなかったのかもしれない。

 結局,彼の「真の動機」を引き出すのに,最も重要な役割を担う者。それが,彼の刑事弁護人(弁護士)であり,その職責であることは言うまでもない。

(以下,私のメモ「山上徹也の半生」)

 

父親の泥酔生活から,両親の喧嘩が絶えず,次第に母親が宗教(統一教会)に入信し,そのために,父親が激昂,夫婦喧嘩が激化し,ついに,父親が自殺。両親は,兄・A・妹の育児放棄し,母親は,宗教(統一教会)にのめり込む(伯父や近所の人々が子育てを支援)。
兄は,小児癌で手術をしたが,片眼を失明。

Aのツイッターによれば,14歳(1995年)で「家族は破綻」という。

 

計1億円以上を統一教会に献金

 

伯父(母方?父方?)の弁護士が,「5000万円の解決金」で承諾だと?。
(全額返金させた上で,母親の財産管理権を剥奪すべきであった。)

 

2002年,母が自己破産Aが自衛隊に入隊。
2005年,Aは,兄・妹のため,生命保険金の入手目的で自殺未遂。自衛隊の事情聴取書には,「統一教会によって,人生がめちゃくちゃになった」との記載があるとか。
(生命保険は,「自殺免責条項」があるのでは?)
その後,兄は,(母親の統一教会への献金のため)治療費が払えず,兄は死亡。