北口雅章法律事務所

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プリゴジンが、5日に「10日撤退」を宣言したのは何故か

 

プリゴジンが、今月5日、ウクライナ侵略戦争(俗にいう「プーチン戦争」)の激戦地バフムトからワグネル民兵組織を「10日撤退」させる旨を「予告(宣言)」した理由はどこにあるのか?
考えられる理由の一つは、ゲラシモフ参謀総長・ショイグ国防相(プーチン)に対し「弾薬提供の停止」措置の撤回を求め、彼らに翻意のための「猶予」期間(熟慮の機会)を与えた、と考えられなくもない

しかしながら、この説は採用できない何故なら、プリゴジンは、上記引用部分のとおり撤退宣言の理由として「現在9割の弾薬が不足」をあげており、このような軍事情報は、本来、「軍事機密」事項のはずであって(たとえ、ガセネタであったにしても)、プリゴジンが本気でプーチン戦争の戦闘継続を考えているのであれば、機密情報(祖国のために闘っている盟友・民間軍事会社のために、弾薬さえも分与・支援できないロシア=プーチン正規軍の危機的状況)を他国に知らせるようなマネは絶対にしない。ということは、5日間の「猶予」(熟慮期間)をプーチン(ゲラシモフ参謀総長・ショイグ国防相)に与えたとて、プリゴジンの内心では、この間に、プーチン(ゲラシモフ参謀総長・ショイグ国防相)が弾薬をワグネルに補給してきて、弾薬不足を解消させることなど99%ないと確信していることになる。何故、プリゴジンが祖国からの弾薬提供を期待していない(期待できない)のか?と言えば、二つ理由が考えられ、具体的には、①ロシアにはプリゴジンに弾薬供給できるだけの「余力」がもはやないという理由と、②プリゴジンに弾薬供給すれば、「敵に塩を送る」ようなもので、内紛・内戦に至ったときに、その弾薬がクレムリン(プーチン)に向けられるという危惧を抱いているという理由が考えられる。

 以上の考察によれば、プリゴジンが、今月5日、「10日撤退」を「予告(宣言)」した真の理由は、「10日までに撤退準備を整えて撤退するので、それまでは、ロシア=ワグネル軍への反転攻勢は待ってね。」というプリゴジンから「ゼレンスキーへの“お願い”メッセージ」なのではないのか?

(いかん、いかん、連休中とはいえ、こんなことを考えているヒマなどないのだが…)