北口雅章法律事務所

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青面金剛神の持ち物は何か

円空学会から『円空研究=36』が届いた。
「円空学会だより」第151号から第200号までが一まとめに収録されている。大変ありがたい。ちょっと拾い読みしただけで、自らの学識不足・知識不足に気づかされる。

円空が荒子観音寺に遺した青面金剛神が左手で髪をつかむ人物像に異様な感じを受け、かつてブログに言及したことがあったが、ショケラ(青面金剛神に髪を掴まれた半裸の女性)」というモチーフがあったのだ。

 


庚申縁起」(奈良金輪院;江戸時代初期)より

 

谷山敦子女史は、上掲・写真に撮された、青面金剛神の脇手の持ち物について、小島梯次理事長の「ショケラではないか」とのご発言に触発されて、「蛇とショケラを習合させ、蛇のとぐろにショケラの頭を乗せたのではあるまいか」と論じておられる(「円空学会だより」第182号)。
 確かに頭髪の窄(すぼ)まり具合は、青面金剛神に髪を掴まれて窄まったショケラの頭髪を表現したものだろう。しかしながら、ショケラは本来、上掲・荒子観音寺像のショケラのごとく、脇手の下に描かれるべきものである。したがって、上掲写真の人物像は、円空独特のユーモア感覚から、「ショケラと宇賀神」とをミックス(習合)させて(これも一種の多機能?)、造顕したように思われる。

荒子観音寺蔵・宇賀神(名古屋市;栗原哲男撮影)