北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

困ったもんだぜ。男の性(さが)。

 

近頃、無防備な女性を狙って、男性が(男性でも)想像を絶する「困ったこと」をする、といった類の記事を目にすることが増えた。

 

 

昔から、「困った男性」はイロイロいたが、…
それが同業者(弁護士)ともなると、哀しき「男の性(さが)」も、ここまで来たのか…、と残念に思わざるを得ない。

 

 

 

ちなみに、裁判官にも、同種事例があった(紙面上「裁判官出身」とあるのは、裁判所からの「出向」という意味である。)

 

 

かつて、同種事案に関しては、平成20年以来、最高裁判例はなかったが、令和4年末になって、突如、新判例が出た。最高裁判例の事案など、上掲・各事案に比べれば、かわいいものだが…

参考までに、最高裁判例の事案を確認しておくと、次のとおり。

最高裁平成20年11月10日第3小法廷決定(判例時報2050号158頁)では、
 ズボンを着用した女性の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動(北海道の迷惑防止条例違反)に当たるとされた。
なお、この決定では、弁護士出身の田原睦男判事が反対意見を書いてみえて、「『臀部』に近接して撮影するような場合には,『卑わい』性が肯定されることもあり得るといえるが,それは,撮影行為それ自体が『卑わい』なのではなく,撮影行為の態様が『卑わい』性を帯びると評価されるにすぎない。」とされていた。

これに対し、

最高裁令和4年12月5日第1小法廷決定(判例時報2576号92頁)では、
 スカート着用の前かがみになった女性に後方の至近距離からカメラを構えるなどした行為が,「人を著しく羞恥させ,人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」(東京都の迷惑防止条例違反)に当たるとされた。
 判決文を見てないので詳細は不明だが、どうやら、第1審の東京地裁では、「男の性(さが)」に理解のある裁判官が審理にあたったようで、撮影回数が少なく、被害者の写っている時間が短く、執拗でないことに配慮したのか、「社会通念上相当なものではないが」上記構成要件には当たらないと判示して、無罪としたために、検事控訴で逆転有罪を経て、弁護人が上告したもよう。

<参照>
法曹時報75巻12号・最高裁調査官解説