北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「宮迫博之」の謝罪会見に思う

 

1.芸能界って,芸人に「模範的な」「品行方正」が求められる業界だったのか?

反社会的勢力との「黒い」関係が,「看板」芸人の足元を救い,
マスコミ・社会からのパッシングとともに,会社の保身の犠牲となって,
「エンターテイメント」の才覚・才能が潰される。
「島田紳助」事件の時と全く変わっていない。

反社会勢力の資金源の形成に寄与していたならまだしも,
たまたま「慰問」的会合に駆り出されて,小銭を稼いだだけのことではないのか。

所詮「芸人」といったら,怒られるかもしれないが,
「芸能人」に「高潔な」私生活を求めるのは行き過ぎだし,私生活の些細な行状を理由に,芸能界から抹殺するのも行き過ぎであろう。

もちろん,表立っては許されないが,
多少の「黒い関係」や,家庭を壊さない程度の「不倫関係」等は,
かつては「芸の肥やし」として,社会的にも受容されてきたのではないか。日本社会から「寛容さ」がどんどん失われていくように感じる。

(注:かつて吉本興業に所属していたという履歴のある「横山ノック」が自らの選挙活動に携わっていた運動員の女子大生から強制わいせつ容疑で大阪地検特捜部に告発されたことで世間の失笑をかったことに象徴されるように,吉本興業には,私生活の上ではハチャメチャな芸人が多く,その示談処理において,顧問弁護士の需要はいろいろあった,と聞く。昔,大阪にみえたとき,吉本興業の顧問の法律事務所に所属されていたことがあり,今,愛知県弁護士会に所属されているY先生から,今から約20年以上も前に聞いた話であるが・・・。)

 

2.弁護士のレベル低下を感じる。

 宮迫ら本人たちが,翻意して正直な謝罪会見を希望していたにもかかわらず,
弁護士が,謝罪会見を開かせる方向で,吉本興業の社長を説得せずに,
会社と「グル」になって,「口止め」するなど,論外ではないか?

これでは,将来があった芸人の社会的役割を潰し,会社の態度に対する社会的反発を引き起こすことは必定だと思われるし,ひいては「弁護士の社会的信用」(今となってはナンボのものか疑問があるが)を失わせることになろう。まるで,「小室圭」についた弁護士並みレベルの低さを感じる。

(以下,「アエラ」の記事より)

『2人はお金をもらっていたことを早期に会見で説明したかったが、会社側からは…事実上の口止めを指示され…。吉本興業の岡本昭彦社長から、「会見したら全員クビだと言われた」と述べた。』『宮迫によると田村亮から「お金のことを言いましょう」と言われた。金額は宮迫が100万円、田村亮が50万円だったので、会社に言わなければいけないと思って、…と…と合流。吉本興業の社員2人、弁護士2人の計8人で6月8日に面談したという。
 社員や弁護士にはいくらもらったか金額を全て言ったが、「今更ひっくり返せませんよ」と会社側から言われて、いったん納得したという。その後宮迫は会見を開きたいと強く思うようになったという。』

吉本興業社長に向かって,

皆で,「紙つぶて」を投げつけてやれー!!ってんだ。

私が新聞記者として,吉本興業社長の記者会見に臨んだ場合,

吉本興業社長の対し,真っ先に浴びせるべき質問は,次のとおり。

「当然,口止めしようとした吉本興業社長である貴方と,貴会社の顧問弁護士の『コンプライアンス』の適否について,第三者委員会を立ち上げて審査する用意はありますよね!!?」

 

これぞ,「決死隊」。

それにしても,「見事なお手本のような」謝罪会見だったなぁ。

多少とも(宮迫側に)弁護士の指導も入ったのかな?

田村くんは,相方が岡口判事に好意的な報道をしたテレビ番組の司会者だったから,その関係の弁護士を紹介してもらったのかな?

それに引き替え,吉本興業側は,バリバリの法科大学院卒世代のインハウスだな

予想通りだった。

 

あまりに謝罪会見がヘタクソで,
うまく謝罪できない自分が不甲斐なくで泣いたポーズをとっているのか?
涙が出てないし,もうちょっと上手に「演技」ができないものなのか?
「演技指導」も,顧問弁護士の役目のうちなんだけど,・・・
そこまでは,法科大学院では教えてもらえまい。

 

 

またまた,ご冗談を。

「全員クビ」って,社長も顧問弁護士も含めてクビ!,ってことでしょ?