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「西尾幹二」論文の陰に「大川周明の亡霊」を見た

 西尾幹二先生は,私の中では,ニーチェの専門家だと思っていたが,「正論」6月号冒頭に,西尾先生の論考「中国は反転攻勢から鎖国へ向かう」が出ていた。本雑誌の表紙の論文標題の中で唯一赤字になっていたので,久方ぶりに読んでみた。

それにしても,「中国共産党を一刀両断」に斬り捨てる内容は,凄まじい。「大川周明の論考」を彷彿とさせるような「精神の昂揚」が感じられる。正しいかどうかは保証の限りではないが,その本質をえぐるような鋭さは,80歳をとうに超えた年齢でも衰えをしらない。

 曰く,
(原文はそのまま引用するが,「中国人」とあるは,「中国共産党幹部」と読み替えるべき部分もあろう。)

「今までに現実に(中国で)起こってきたことは共産党草創期の名だたる功労者の子孫による特権の『世襲化』である。」,「中国の歴史はどの時代をとっても金太郎飴のように似ている。中国史には古代と現代しかない。清朝までは事実上古代である。」,「中国は国民のうちの2億人が先進国並の生活レベルに達したと言い出して久しい。これを4億人に仕立てて,アメリカをも凌ぐ経済大国になると豪語している。もちろん残りの9億人は奴隷のままにしておく政策だ。」

「米国や日本やドイツは中国でいくら製造しても中国のGDPの伸長に寄与するだけで,自らの国富は相対的に少しづつ中国に奪われて行くというかたちになることに永い間気がつかなかった。」

「・・・武漢封鎖は終了した,工場生産開始,晴れやかにマスクを外す人の波,イタリア救済応援隊への歓呼の声,武漢市中を視察する習首席の晴れやかで自信に満ちた笑顔,等々の一連のプロパガンダ画像が(TBSテレビの「ニュースキャスター」に)流れた。いわく『中国が真先に疫病を克服したのだ』,『人類を救済したのだ』,『世界は中国人に感謝すべきだ』等々の言葉もその間に乱れ飛ぶ。
(中略)・・・。何の悪びれる風もなく白昼堂々とわざとらしい謀略を自己主張に仕立てるこの臆面のなさこそが中国文化である。」

ウソであろうが何であろうが百回言えば真実になる。まず自国民に信じ込ませる。次に自国民を中心にした輪を広げ,外の分子に利益を配分し,数の力で少しずつ正義の質を変えていく。国連はこれで不正の巣となった。」

「客観的真実というものは中国人には何の関係もないらしい。論証は彼らを屈服させない。彼らは包囲されることに慣れている。・・・。中国人の蝟集する力はだからイナゴの大群のように強いが,それは危機に臨んで発揮される人間としての真に強い力ではなく,いざとなれば分散し,散りぢりになって生き延びる原始生物のような粘り強さである。」

「武漢の研究所に発したとされる生物化学兵器説はよほどのことがない限り未解決のままだろうしかし,・・・恐ろしい連想が私の内部に存在する。始めから終わりまでこの件のすべては中国政府の仕掛けたバクチであって,一千万都市武漢を犠牲にするのを承知の上で,新型ウイルスを秘かに増殖させ,世界に拡散させ,貿易戦争では勝てそうになかった米国に打ち勝って中国の大勝利を祝う。まさか,そんな大それた。」(注:・・・西尾先生,本気でそう思ってみえるのではないですか? 「太平天国の乱」という内乱のときの犠牲者の数の半端な数ではなかったようですし,アヘン戦争の敗北で,自国民のアヘン吸引=健康破壊を容認した歴史もありますが,・・・・)

「アジアではなぜベルリンの壁の崩壊のような論理的にけじめとなる出来事が起こらないのか,・・・・。今にしてはっきり分かったのは,古代専制国家的共産主義的金融資本主義的ファシズム的帝国主義国家という矛盾の塊のような現代中国の現存そのものがまさにベルリンの壁のアジア版であったことだ。それが今まさに崩壊しかかっているのである。・・・。怪獣は倒されなければならない。これは必ずしも米国の使命なのではない。日本の使命なのである。

以上引用おわり。

 

このような西尾論文を,もしも中国の方が読まれたら,どう思うであろうか,と考え込んでしまった。

良識ある中国の方々は,中国共産党が破滅=自滅の方向に向かっているのを自覚されているのではないか。

「中国共産党」という名の「怪獣」が倒れることがあるとすれば,それは「自滅」によるものであって,「日本の使命」によるものなどではない,と思われる。