弁護士のブログBlog
最高裁のホームページには、「最近の下級審判例」が紹介されている。
裁判例結果一覧 | 裁判所 – Courts in Japan
どのような基準で選ばれているのかは知らんが、刑事事件ばかりがやたらと目につく。
刑事事件であれば、事件番号で「わ」(地裁)か「う」(高裁)の符合がつくが、最高裁ホームページ「最近の下級審判例」の1ページ目は、上掲のとおり全例、刑事判決だ(ちなみに、一般民事事件の場合、事件番号に「ワ」[地裁]、「ネ」[高裁]がつき、行政事件であれば「行ウ」、「行コ」がつく)。
刑事判決ばかりを公表して、何の意味があるのか?
最高裁の要職を刑事系が占め、投稿者も、それによって刑事裁判官の業績として評価されるからか? 裁判員に読ませたいからなのか?
ちなみに「最近の下級審判例」の2.3ページになると、民事判決も散見されるものの、一般の弁護士にとって、日常的・圧倒的に重要なのは民事判決の方だし、民事裁判の公正な判断である。今ではどうだか知らないが、司法研修所で「刑事弁護教官」を委嘱された弁護士も、その殆どが民事弁護のスペシャリストであって、刑事弁護は、全体業務の中で占める割合は10%未満の教官ばかりだったし、「刑事弁護専門」などということは考えられなかった。
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このところ、最高裁長官が、島田仁郎長官以来、法務省民事局出身の寺田逸郎長官を除き、5代連続して、刑事畑出身の裁判官が最高位(最高裁長官)を占めている。刑事裁判官になると人事上優遇され、「検察官の公訴事実をそのまま認めれば、判決がかけるから楽だ」という理由からか、刑事裁判官を選ぶ任官者(特に女性)が増えているという。これでは、民事裁判の劣化は避けられまい。