北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「円空展で一番気にかかる作品」

目下、京都駅構内にある美術館「えき」(京都伊勢丹7階隣接)にて、円空展「円空-330年の祈り」を開催中である(10月6日まで)。先般、円空研究の第一人者から、招待券を御恵贈いただいたので、仕事の合間に、第1回目の鑑賞をしてきた。

 

 円空研究・第一人者のコネクションで、東海地区と滋賀県を中心に円空の、数々の名作が多数集められていた。図録を見ながら、感慨に浸っていたところ、おりしも、季刊「円空学会だより」(令和7年10月1日発行)が届いた。同冊子によると、このほどの円空展を機会にシンポジウムが行われたとのことで、6名のパネリストに、各々「自分が一番気にかかる作品についてレポートせよ。」という御題が課せられていたようで、レポートの対象となったとみられる、各々方にとって「一番気にかかる作品」が冊子に掲載されていた。

 

では、今回の展示で、私にとって、「自分が一番気にかかる作品」は何であったか。

実は、何を隠そう、八田観音寺(名古屋市)所蔵の十一面観音だった。

 

一瞬、名古屋市博物館所蔵の十一面観音か?と思ったりもしたが、よく観ると違っていた。

八田観音寺所蔵の十一面観音の良さは、実物を直に観ないことにはわからない。「当時の尼さんを等身大に彫ったという逸話」があるそうだが、やはり慈愛あふれるモデル(尼僧)が居たことは、まちがいないと思う

今回の円空展では、太平観音寺(滋賀県米原市)所蔵の十一面観音も展示されていることから、同像を目当てに訪れるファンも多かったのではないかと推察する。こちらの十一面観音については、やはりモデルがいたのではないかと推察しているが、こちらは在家の女性だと思う。

今回の円空展の見所は多々あるが、個人的には、上記紹介の各十一面観音以外には、やはり、岐阜県下呂市を中心とする「青面金剛神像」の作品群が充実していたこと(ほぼ網羅されていた)と、円空が東北・北海道での巡錫・巡礼を経て、郷里に戻ってきた直後に造顕したとみられる、比較初期の丁寧な彫りの作品群を鑑賞できることにあると思う。一筆お礼まで。