弁護士のブログBlog
弁護士が,ビクッとするとき
- 2018-06-13
先日,義理の伯父貴(妻の伯父)から,またまた新刊本が贈られてきた。
伯父貴の著書で,「統合失調症は回復します」というタイトルだ。
(これまで,NPO法人の通信誌に連載していた巻頭言や講演録をまとめたとのこと)
伯父貴は,内科開業医を既にリタイアされ,
精神障害者の生活支援活動等に従事されている。
前から,何で,内科医が精神科を手掛けるようになったのか?
と疑問に思っていたところ,その理由が,御著の冒頭に書かれていた。
地域密着型の開業医をされていた伯父貴は,
通院困難な高齢者のために方々に往診に出向いていたが,
何千件もの往診を手掛けていたところ,
月1度通っていた90歳代のある女性のお宅に,
伯父貴をこっそり見ている30歳くらいの娘さんがいた。
そこで,家人に「お嬢さんですか?」と尋ねたが,言葉を濁したという。
3,4年と通っているうちに,この医師になら打ち明けてもいいと思ったのか,
お母さんが,「実は,あの子『さっちゃん』は,18,19歳のころに,
分裂病(現在の統合失調症)の症状が出たのです」とのこと。
今から60年も前のこと。
信仰を勧められ,自宅中庭に社を建てたが軽快せず,
精神科病院での入院を経て,自宅に戻ってきていたとのこと。
父親の職人仕事を一緒にやってきた29歳のご子息は,
見合いのたびに,姉のことで結婚話は尽く破談となり,
『さっちゃん』が大声を出すので,何度夜逃げをしようと思ったかしれない,とお母さんは言う。
「こうして月に一度,お母さんに『さっちゃん』の心配について話を聞くのが
僕(伯父貴)の仕事になっていきました。そのうち私は,
これは統合失調症という病気の問題ではなくて,人権の問題だと考えるようになりました。」
ここで,ビクッとした次第。
そこで,伯父貴は,
「精神科の勉強はしないでいようと思っていましたが,『さっちゃん』のことをきっかけに,精神科について勉強し直してみようと思い,・・・」ということで,
「こころの病は,こころで癒す」という趣旨のことを書かれています。
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