北口雅章法律事務所

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恐るべし! 韓国司法の混迷 ・・・追記あり

 韓国の検察庁(ソウル中央地検)が,韓国の前最高裁判事の逮捕令状を請求したという。
「最高裁判事経験者の逮捕状請求」は「憲政史上初」だというが,
「韓国の検察庁」は,そのような令状請求自体が,
前最高裁判事に対する「礼節を欠いた」屈辱的な「暴挙」であるのみならず,
「韓国・国家の恥さらし」だとは思わないのであろうか??

 

容疑は,前最高裁判事らによる「判決の先送り」(職権濫用)が中核のようだから,
「令状発付を先送り」にすれば,令状請求を受けた裁判官も,
それを却下したり,放置してしまうと,
後から,「職権濫用」の嫌疑で,逮捕されてしまう危険がある。このため,
「ビビって」令状を発令してしまうのではないか。

 

(*追記)・・・と思ったが,地裁の方は,意外とマトモだったね。

 

 

それにしても,日本法では,およそ考えられない事態だ。
(いくら東京高裁長官に対する告発状を受理したとはいえ,検事総長=最高検の指揮下にある東京地検が,同長官の逮捕令状を請求をすることはありえない。)
日本法では,逮捕令状の発令要件は,
「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(刑訴法199条)だけでは足りない。
「逃亡の虞(おそれ)」があるか,
「罪証を隠滅する虞(おそれ)」があること
が必要とされている(刑事訴訟規則143条の3)。
ということは,検察庁が,組織として,前最高裁判事の逮捕令状を請求したとなれば,
彼らは,前最高裁判事に向かって,
「お前達,捜査を開始したら,逃げるだろう!」
「お前達,捜査を開始したら,証拠隠しをするだろう!」
と侮辱しているに等しい。

ああ,嫌だ,嫌だ。

韓国には,「司法の権威」,「司法への国民の信頼」という観念が国民の間に定着しなくても,ドーデモイイ,という考えなのだろう。日本でも崩れつつあるが,ここまで酷くはならないであろう。たぶん。

韓国では,大統領にさえも,誰もなりたくなくなるのではないか。