当事務所には、私のコレクションの一つとして、円空作「宇賀神」のレプリカがある。

「宇賀神」は、日本古来の民間信仰の神を造形化したものであるが、その像容は独特で、顔面が長いヒゲを生やした老人であり、胴体は「蛇」で、蜷局(とぐろ；塒)を巻いている。

当事務所蔵のレプリカの出所は、荒子観音寺（名古屋市中川区）蔵「宇賀神」だと思い込んでいたが、よく見ると、とぐろ（蜷局）の角度が微妙に違っていたし、レプリカの方がスリムに見える。

 

どうやら、当事務所蔵のレプリカの出所は、奥飛騨・禅通寺所蔵の「宇賀神」だったようだ。

 

 

丸山尚一「新・円空風土記」（里文出版）４４０頁より