北口雅章法律事務所

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「血も涙もない」最高裁第一小法廷

最高裁の口頭弁論が開かれる「事案の概要」をみて、ギョッとした。

 

 

最高裁第一小法廷は、大阪高裁の「温情判決を取り消すつもりか??

はたして、昨日、最高裁第一小法廷(令和6年6月27日判決)は、同僚を転居予定の自宅に招いて飲食後、物損事故を二つ連続して起こした、大津市職員(総務部課長)の懲戒免職処分に際して、一般の退職手当(1620万4488円)を全額不支給とした大津市長の処分を「社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱・濫用したものとして違法」とした大阪高裁の判断を上告受理の上で取消し、「退職手当の全額不支給」を適法であると判断した。

反対意見を書いたのは、弁護士出身の岡雅章じゃなかった岡正晶裁判官ただ一人。

弁護士出身の宮川美津子裁判官は、多数派に与した。

「血も涙もない」冷酷無比と思うか否かは、個々人の主観的評価の問題であろう。

しかしながら、わざわざ上告受理してまで、原判決を覆す必要がある程度に「法令の解釈に関する重要な事項」であろうか。多数派判事らの「人権感覚」に肌寒さを感ずる上、小職が先般、上告受理申立てをした事案では、下級審判決が真っ二つに割れる地方自治法の解釈が分かれ、この意味で法令解釈の統一が求められたはずの「重要な法令問題」について、「三行半」に付した最高裁第一小法廷決定(裁判長裁判官・宮川美津子)に比べると、著しく権衡を失するように思われる。受理・不受理の基準が恣意的ではないか。