弁護士のブログBlog
「イスラエル、イラン核施設空爆」に想う
- 2025-06-15
イスラエル軍は、200機以上の戦闘機を使って、
イラン中部のナタンズにある
ウラン濃縮施設や、弾道ミサイル拠点を空爆したばかりか、
軍部高官である、
サラミ総司令官(「革命防衛隊」トップ)
バゲリ参謀総長らを殺害するとともに、
核兵器開発の中核にた核科学者合計9名を殺害したという。
文字通り「やりたい放題」やっている。
方や、イラン側からは、弾道ミサイルを約200発を発射させたとて、
商都テルアビブ近郊に着弾させたとて、
イスラエル側に与えた損害は、わずか約3名の死者と約70名の負傷者にとどまっており、
イラン側が受けたダメージの大きさに比べ、比較にならない。
1.アメリカ側は、イスラエルの先制攻撃は、「予め(米国に)知らされてなかった」というが、アメリカ軍部が知らないわけがない。現に、アメリカは、(第1次トランプ政権のときに、イランとの2015「核合意」について、イランに対する核開発制限が甘いという理由から離脱しているのみならず[「敵の敵」は味方])、イスラエルの先制攻撃が始まる前、イランの首都テヘランの大使館員をはじめ、中東の戦争想定区域から外交官の家族を帰国・退避させ、イランからの反撃に対する、「イスラエルの迎撃」を支援しているというではないか。
明らかに中立ではない。
ヘグセス国防長官(米国)の上記発言は、意味がわからん。
イランが「報復」攻撃を仕掛けるのは、ある意味当然の「報復」措置であって、それに対する迎撃は「報復」とは言えまい。
2.ウラン濃縮施設や、弾道ミサイル拠点を空爆(奇襲攻撃)に限らず、イラン軍の幹部と核科学者9名の殺害に成功しているということは、イスラエルの諜報機関「モサド」の現地要員(スパイ)が、イランの枢要部・内部に相当深く食い込んでいることが窺われる。(追記:「軍幹部の参集」は、軍幹部のSNS交信記録を、AIを使った翻訳解析によって、察知できるらしい。)
はたして、イランは立ち直れるのか?
近現代戦争においては、平和主義の観点から、「専守防衛」の憲法を創設するにしても、「防衛」の概念の中に、今回のイスラエル軍のごとき「防衛目的(予防目的)の先制攻撃」を含めるのか否かを議論する必要がある。これを認めないことには「防衛」目的を達成することはできないこともあり得るのではないか、そうだとすれば、「防衛」も「攻撃」も相対的なものとならざるを得ず、戦争=交戦状態の開始の「歯止め」にならないのではないか。……てなことを、40年以上も昔、大学教養部時代に、小林直樹教授(憲法学)のゼミで学んだことを想い起こした。