北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

作家と弁護士の違い;「涙が出てくるかどうか」

 

作家(車谷氏)と同様、私も、(真実に反する事実を主張する)訴訟・裁判の相手方当事者(その代理人)に対し「天誅」を加えるような意気込みで準備書面(私のいわば「作品」)を書き上げることが多い。また、敗訴判決を受けたときは、誤った判決を書いた原審裁判官に対し「天誅」を加えるような意気込みで控訴理由書を書き上げることが多い。

したがって、心血を注いで書き上げた書面私の「作品」)の成果が出たとき、つまり、勝訴判決を得て、それが確定したとき、「涙がでてくる」ことがないではない
だが、いくら満足のいく書面を、信念をもって、自信満々に書き上げてもそれだけでは(安堵の思いをもつことはありえても)「涙が出てくる」ことはまずない。そして、それにもかかわらず(自信満々の書面を書き上げたにもかかわらず)、敗訴判決を受け、それが確定したときも、「涙が出てくる」こともまずない。裁判所に対する、憤怒・侮蔑・諦念の思いを抱くことはあっても…。

作家と異なり、自己満足では済まされないのが、弁護士の仕事なのだ。