弁護士のブログBlog
「大川周明の奇行」は,発狂か? 演技(詐病)か?
- 2019-02-09
最近,大川周明の復刻本を本屋でよく見かける。
大川周明といえば,戦前の右翼思想家で,ナチス=ドイツにおける「カールシュミット」のような存在だ。昭和7年5月15日に発生した犬養毅首相の暗殺事件(いわゆる5・15事件)の黒幕として,懲役15年の実刑判決を受けているが,われわれの世代が思い浮かべるのは,
なんといっても,「東京裁判での奇行」であろう。
学生時代,劇場で映画「東京裁判」を見たとき,なんじゃこれ?と思った。
A級戦犯として訴追されていた大川周明は,東京裁判の法廷で,
同じくA級戦犯として訴追されていた東條英機元首相のハゲ頭を,
突如,平手でバックから強く叩いたからだ。
この奇行のお陰で,彼は,公判中に精神異常を来した(つまり「発狂」した)と医師に診断されて,免訴となった。
この奇行は,真の「発狂」であったか?,「演技」(詐病)であったか?,
は,未だに議論の分かれるところである。
が,元朝日新聞記者・軍事評論家の中野五郎氏の
〈遺稿〉『君は,第二次大戦を知っているか』によると,
「…かくて彼(大川周明)は,あやうく絞首刑をまぬがれて数年間,精神病院に強制収容されていたが,退院後に,じつはみずから『仮病』を使って裁判をまぬがれたと,堂どうと声明して,世間をあっとおどろかせた奇怪な人物である。」と述べられている。
「演技」性のパーソナル障害ではないか?
が,それにしても,アメリカの言いなりに「飼い慣らされた犬」の如き,
現在の日本国をみると,大川周明の『米国東亜侵略史』は,
確かに,日本人に対し,その愛国心を高揚させる,煽動的効果は強烈だ。
曰く「世界史はこの日米戦争なくしては,
しかして,日米戦争における日本の勝利なくしては,
けっして新しき段階を上りえないのである。
日本とアメリカ合衆国とは,いかにして相戦うにいたったか。
太陽(日本)と星(米国)とは,同時にかがやくことはできません!
いかに星は沈み,太陽はのぼる運命になってきたか,・・・」