北口雅章法律事務所

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円空仏(ENKU)入門5「志摩半島に遺された仏画の校閲印」

[問]三重県志摩半島の先端ある旧「片田」漁業協同組合が所蔵していた,大般若経600巻の写本には,円空が描いたとみられる仏画58枚が遺されており,これら仏画の殆どに,円空の校閲印として,「花びら様」の墨印(黒色)が押捺されている(下掲参照)。

 

これに対し,同じく三重県志摩半島の先端ある立神薬師堂が所蔵する大般若経600巻の写本には,円空が描いたとみられる仏画130枚が遺されており,これら仏画の殆どには, 円空の校閲印として「人物様」の墨印(黒色)が押捺されている(下掲参照)。

 

ところが,上記の校閲印(黒色・墨印)の唯一の例外として,立神薬師堂所蔵の大般若経の中の584巻の扉絵にだけは,円空の校閲印として「二種の朱印」が押捺されている(下掲参照)。

 

では,何故,円空は,この扉絵に限って,「二種の校閲印」を「朱印」として押捺したのか?

[解題]上記の問については,歴代の円空学会理事長が「謎」とされてきたが,私は,このコロナウイルスの御時世,裁判所の閉廷期間と連休の合間,この「謎」の解明に挑戦してみた結果,一応,私なりに納得のいく解答を得た。そこで,小島梯次先生(現円空学会理事長)に手紙を出し,私の説について講評を求めたところ,同先生から「論文にしては?」と勧めていただけた。
 この解答は,本日,円空学会から送られてきた,円空学会編「円空研究―34」に掲載された私の論文に書かれている。皆さん,読んでネ。