北口雅章法律事務所

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私の(新聞)紙面批評

あいちトリエンナーレ負担金訴訟では,
同じ裁判を報道する場合でも,
新聞社(編集デスク)の担当記者に対する「言論統制」の問題もあろうが,
担当記者及びその上司の理解力・文章力の格差
総じて,「ジャーナリストとしての能力」の差が歴然と示さた。

まず,中日新聞

 

見出しの「公務員の中立性」の言辞は,不正確かつ不適切
「公務員の政治的中立性」(憲法15条2項,地方公務員法36条)が正しい。

河村市長は,意見陳述の中で,
「中日新聞の報道のあり方」自体を具体的かつ濃密に批判したが,
中日新聞は,その具体的内容を全てスルーして,
「本紙報道についても『一方的,断定的』などと批判した。」
の一言にとどめている(要は,「耳の痛い話」には,耳を塞ぐ。)。

河村市長が,意見陳述の中で,
不自由展の批判対象とした中核的な作品である,
昭和天皇の肖像写真をバーナーで執拗に燃やし,
その灰を靴で踏みつけにする作品について,
中日新聞,「報道の自由」を楯に,その言及を避け,
「いわゆる従軍慰安婦像」についてしか言及しない
といった偏った報道姿勢について,
厳しく批判しても,
中日新聞は,本件裁判との関係でも,
上掲報道のとおり,従来の歪んだ報道姿勢を改めようとしていない。

河村市長は,「本件は,『憲法の表現の自由の問題』ではない!」
法律的な根拠を示して合理的に説示した上で,
大村知事に向けて,「表現の自由『以前の』問題として,
『公務員の政治的中立性をどう理解しているのか』を法廷で説明して欲しい」
と,意見陳述の中で呼びかけており,
中日新聞は,この陳述部分を上掲記事でも報道しているのであるから,
その直後の大村知事の記者会見において,
大村知事に対し,
「あなたは,公務員の政治的中立性をどう理解しているのか」と問い質し,
それに対する大村知事の回答(即答できなかったなら,その旨)
を報道したら,どうなんだ?!

大村知事は,「(名古屋市が負担金を)支払わなければ,
実行委員会ひいては『県の予算』に『穴』があく
というが,実行委員会側が仮に敗訴した場合は,その『穴』を,
大村知事のポケットマネーで,「穴埋め」すれば『穴』はあかない。
このためにこそ,住民訴訟制度がある。

中日新聞の記者には,
読売新聞の記事の如く,
適確で,無駄のない秀逸な記事を見習って欲しい。

 

なお,河村市長の意見陳述の内容は,

名古屋市のホームページ(「暮らしの情報」)にて,

公開されています(ホームページの「サイト内検索」で,「あいちトリエンナーレ」のキーワードを入れていただいても,出てきます。)