北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

弁護士は,斜陽族か…

法務省作成の配付資料から,ますます絶望的なデータが読み取れる。
まず,「法曹三者の人口の推移」
グラフからは,裁判官・検察官の数は殆ど変わらず,
弁護士だけが倍増しているかのようにみえる。

法曹養成制度改革連絡協議会 第14回協議会(令和2年10月23日開催)
資料1-17 「法曹三者の人口の推移」より
(http://www.moj.go.jp/content/001332216.pdf)

 

が子細にみると,
われわれが弁護士登録した平成4年当
弁護士の数は,全国で,1万4704名だったのが,
令和2年(今年)は,4万2200名で,約3倍に増えている。

これに対し,
裁判官の数は,
平成4年当時,2029名だったのが,
令和2年になると,3075名で,約1.5倍

 

平成4年当時の裁判官の仕事量全体100%とした場合,

令和2年度の仕事量全体は,概ね150%とみてよいだろう。

弁護士数が,この間に3倍に増えたのだから,
裁判官の仕事量は,平成4年時の三倍,
つまり300%に増えても良さそうなものだが,現実には,その半分の人員で足りていることになる。

ということは,・・・
一人当たりの弁護士の裁判実務に関する仕事量が半減しているか,
従前どおりの裁判実務(仕事量)をこなしている弁護士が少なからずいるとすれば,
仕事量(裁判実務の経験値)が,従前の弁護士の半分以下の弁護士が少なからず存在することになる。
って,ことは,昨今の弁護士業界は,
仕事量の面では,「ブラック」ではないが,むしろ逆に,
裁判実務の経験値が低く,極貧にあえぐ「非正規的な」弁護士が増えたのではないか?

インハウスがそれほど増えているとも思えないので,やはり仕事=収入の足りない弁護士が増えていることは疑う余地がない。

ここで,法律相談の件数の推移をみると,・・・
概ね年間60万件で推移している。
弁護士数が倍増したら,法律相談件数も倍増してもよさそうなものだが,
弁護士一人当たりの相談件数は,半減していることになる。

のみならず,ここで恐ろしいのは,
「弁護士白書」に示された,上掲「法律相談件数の推移」と題する棒グラフをよくみると,

「有料」法律相談は薄紫の部分だけで,
それ以外のすべて「無料」法律相談(即ち,ボランティア仕事)なのだ。

 

弁護士の価値の暴落は,
法曹界の人材の劣化を招くのは必定。
かくて日本の司法・法曹界は,劣化し,沈没していくのさ。
若手弁護士らの悲鳴が聞こえるようだ

「専門バカの大学教授ども+中坊公平」が,よってたかって,

「司法改革」を「錦の御旗」に掲げて日本の司法界をボロボロにした結果なのさ。