北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「元 町医者の人生哲学」

妻の母方の伯父貴ご夫妻は,長年,静岡県の清水で,
町医者をされていたが,約5年前にリタイアされた。
現在は,転居先(東京)近所の老人ホームでのボランティアや,
精神障害者の生活支援に係る活動をされているとのこと。

その(義)伯父貴が,「元町医者の人生哲学」と題するエッセイ集を
製本にされ,このほど,贈ってくださった。
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「老いと病と死」を見つめ,「医療とは何か」を問う珠玉のエッセイ
の内容から,読者は,(義)伯父貴が「赤髭」のような方だとわかるであろう。
私自身は,「原発全廃」,「反戦平和」や反安倍政権,護憲に関する,(義)伯父貴のエッセイにも,共感できる。

78歳の(義)伯父貴は,精神的になお溌剌(はつらつ)としているように感じられるが,

その要因の一つとして,この方は,ユーモアを解される方であると見受けられることが挙げられるように思う。

御著の,老人問題を扱ったエッセイの中では,
 「諧謔(かいぎゃく)」(ユーモア)を伴った「狂歌」が紹介されており,
 (義)伯父貴と同様,私も,巧みに老境を詠み込んだ作品だなぁと思われたので,
以下で,引用・紹介させていただく。

 

目は霞み(春)夏は蝉鳴き
歯(葉)は落ちて(秋),頭に霜いただけるかな(冬)

 

<以下,横井也有『耳袋』より>

皺はよるほくろは出来る背はかがむ 頭ははげる毛は白くなる

手は震う足はよろつく歯はぬける耳は聞えず目はうとくなる

よだたらす目しるをたらす鼻たらすとりはずしては小便ももる

又しても同じ噂に孫じまん達者じまんに若きしゃれごと

くどうなる気短になる愚痴になる思い付くこと皆古うなる

身に添うは頭巾・襟巻・杖・眼鏡・たんぽ・温石・しゅびん・孫の手

聞きたがる死にともながる淋しがる出しゃばりたがる世話やきたがる

 

伯父貴曰く「右の狂歌は,老人の生理的変化と心理的変化を実に巧みに詠み込んでいます。」と。

私は,上記狂歌の趣旨を自覚できるうちは,その方の精神は,まだまだ若いと思います。