北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「既成事実(ウソ)」と「客観的真実」とどちらが強いか。

幼少時は,「ウソつきは,泥棒の始まり」と教えられ,
物心ついてからは,「ウソは,必ずバレる」という処世訓を身に付ける。
これが,日本社会における「美徳」であり,国民全体が共有すべき,
世間一般の社会常識・道徳観念である。

実際,「司法」の場で,「社会正義の実現」を担う法曹関係者は,
一部の例外を除いて,同様の価値観・道徳観念のもとに,誠実に職務を行う。
したがって,
たとえ,世論操作によって塗り固められたウソが「既成事実」として「欺瞞」によって,
築きあげられようが,所詮,「砂上の楼閣」であって,
いずれ「鍍金(めっき)は剥(は)げる」
ウソで塗り固められた「既成事実」よりも,「真実」の方が強いのだ。
「真実」は,実証され,いずれ「正義」が勝つのだ,
今にみておれ!! というのが,大半の「純真」「純朴な」法曹であろう。

少なくとも,「世間しらず」の新人段階では。私もそうだったし。

しかしながら,
遺憾ながら,仕事に真面目に取り組んでくると,世の中,
必ずしも,そのように動いているようには思えないときが,やがてくる。
これまでの書生気質的な「純朴精神」,正義=道徳観念を持ち続けてきた
自分のような「純朴な」法曹関係者を「お目出度い」と思えるようになるときがくる。
(そのように思わないで,壮年期を迎えた法曹関係者は,「幸せ」ですね。)
(どうせ,刑事裁判での再審請求など経験したこともない方でしょうが。)

何がいいたいのではない。

貴乃花親方は,前記のごとき「純朴な道徳観念」をもった顧問弁護士の指導のもと,
「真実を語る」のがちょっと遅すぎたのではないか。いずれ,県警・検察庁が真実を明らかにしてくれるといった「淡い期待」をもって,ダンマリを続けすぎたのではないか。
固定観念・世論操作によって塗り固められた「既成事実」「ウソ」を覆すことは容易ではない,ということが必ずしも十分に理解されていなかったのではないか。

「客観的真実」よりも,「既成事実」あるいは「ときの権力者の意向」の方が強いことは,数々の歴史が証明している。

如何にアホで,不条理な制度だとわかっていても,一旦固定された法科大学院制度や,裁判員制度をぶち壊すのが不可能に近いのと同様に。

ときの権力者は,「頭が悪い」し,
「頭の良い」首脳部は,おかしいことに「気付いていても」気がつかない「フリ」をして,
既得権益に立ち向かわず,闘おうともせず,事勿れ主義に徹するものだ。