北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

弁護士業界の “三種の神器(じんぎ)”

わが敬愛する弁護士・片岡信恒先生(愛知県弁護士会)によると
弁護士業界には,“三種の神器”があるという
曰く, 

“三種の神器”とは,

弁護士が共通して誇れる(ほこれる)三種の実績

具体的には,
①刑事事件で無罪をとること,
②行政事件で国若しくは地方自治体を相手にして,
 勝訴判決を得ること
③最高裁判所の口頭弁論に立ち会うこと
 を指す。

そして,片岡先生は,昭和57年に①,平成4年に②,
さらに,平成5年に③を,各々達成し,
既に“三種の神器”(またの名を“三冠王”ともいう。)を獲得された,という。

<出典:片岡法律事務所編「事務所通信」より>

 

私の場合,平成4年に弁護士登録して以来,
片岡先生の薫陶を得て,
“三種の神器”の獲得をめざすよう,発破(はっぱ)をかけられていたので,
例えば,刑事事件で国選事件を受任したときは,最初から“無罪狙い”で突き進んできた。
ところが,残念ながら,刑事部門では,現在に至るも無罪判決はいただいた例(ためし)がない。
そして,“白鵬”じゃなかった,“悪法” 裁判員制度が導入されてからは,
刑事弁護からは,基本,撤退することにした。すなわち,
刑事事件は,顧問会社関係からの依頼など特別な事情がない限り,
基本的には受任しないことにしてしているので,
今後は,名古屋刑務所事件の再審請求が認められない限りは,
刑事部門の“三種の神器”については,既に獲得に向けた展望は殆どない。

ところが “三種の神器”のうちの残る二つの部門(前記②③)については,
幸いにも,一昨年(平成28年)の7月8日,一挙に獲得することができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

国を相手とする行政訴訟につき,東京高裁で敗訴判決を受けていたところ,
最高裁から口頭弁論の呼び出しを受けて,これに立ち会い(前記③),
逆転勝訴判決という僥倖(ぎょうこう)を得ることができた(前記②)からだ。
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/000/086000_hanrei.pdf

 

ところで,

わが弁護士業界には, “三種の神器”の他に,
“三種の神器(じんぎ)”ならぬ,
“三種の仁義”というものがある。
(私が勝手に提唱しているだけだが…)

弁護士たる者,

①同業者たる弁護士を批判してはならない。
②裁判官・検察官を安易に批判してはならない。
③法科大学院出の弁護士をバカにしてはならない。

以上が,私のいう“三種の仁義”であるが,若干,注釈が要(い)りそうだ。

まず,上記①であるが,
「①弁護士は,同業者たる弁護士を批判してはならない。」
 弁護士を批判することは,やはり避けるべきであるが
 (弁護士職務基本規程70条,旧弁護士倫理規定43条後段参照),
 日本弁護士連合会(日弁連)や,弁護士会がアホなことをやった場合は,
 大いに批判してよろしいし,むしろ,批判すべきだ。
 最近の歴代・日弁連会長については,“真正のアホ”ではないか?
 と,私には思えるほど,彼らの言動には,強い怒りを覚える。

次に上記②であるが,
「②弁護士は,裁判官・検察官を安易に批判してはならない。」
 現役の裁判官・検察官を直接批判することは,やはり避けるべきであろう。
 (昔,某検事総長に宛てて,同総長及び検察庁を批判する文書を送りつけ,
  愛知県弁護士会の掲示板に貼り付け“公開”したら,“後悔”することになった。
  今は亡き石原ボスから,「やめなさい!,逮捕されるぞ!」という譴責のFAXが
  突如,事務所に流れてきたお陰で,難を免れたが。)

 但し,退官後のヤメ判・ヤメ検による,弁護士業務外の活動を批判することは,差し支えないと思う。
 現に,本ブログでも,元検事長を批判しているが,好評をはくしているようだ。
  https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=1345

最後に上記③
「③(旧司法試験組の弁護士は)法科大学院出の弁護士をバカにしてはならない。」
であるが,
 「お前は,法科大学院制度を批判しているではないか」と批判されそうである。
 なるほど,私は,「法科大学院制度」こそ諸悪の根元であり,
 司法改革の大失敗の“象徴的存在”である,といった趣旨のブログを続々と書いている。
  https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=349
  https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=211
  https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=205

 しかしながら,私は,法科大学院制度は批判しているが,
 法科大学院出の弁護士を,法科大学院卒であるがゆえに直接批判したことはない。
 彼らは,むしろ,“無用の長物” である法科大学院から

“高い授業料”を“搾取”される一方で,大して役立たない「机上の」法学教育しか受けられず,

時間的に限られた「手抜き」の司法修習しか受けさせてもらってない,

実に可哀想な「被害者」なのだから。