北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「真面目なことを愉快に」

先日、送られてきた愛知県弁護士会の会報(2024.10)を読んでいたら、4名もの先達(弁護士)の「追悼文」が寄稿されていた。かつては狭い業界だったので、いずれの方も一応の面識はあるものの、その人となりは、各々一面しか知り得なかった。「追悼文」を拝読すると、「ああ、そういった背景をもつ方であったのか」と思い、それぞれの人生・人柄が偲ばれる。

当事務所の重点取扱項目の一つである医療訴訟の関係では、医療側の代理人として知られる、故G藤先生の追悼文をT岡先生が書かれていた。「筋を読め、負けるべき事案は負けて然るべきであり、決して無理はしない、弁護士は代理人であって本人ではない、事件に思い入れはあるとしても、決してそのことを忘れないようにとの注意を昔受けた。」と書かれている(今の医療訴訟では、このような故G藤先生のスタンスの弁護士は、殆どいない。)。

確かに、私にとって思い入れのあった医療訴訟で、裁判官にもめぐまれたお陰で、相手方代理人のG藤先生を相手に完勝したことがあり、この事件では、相手方から控訴はされなかった。一方、私が敗訴した場合、私としては敗訴判決が受け容れられず、必ず依頼者に控訴・上告を勧め、「こんなアホな判決を許してはなりません。」などと説得し、説き伏せてしまうことに照らすと、G藤先生は、私とは「人間の出来」が違うのかもしれない。

T先生は、G藤先生の「生き方」に因んで、上記追悼文に「井上ひさし」の言葉が引用されていた。

①むずかしいことをやさしく、
②やさしいことをふかく、
③ふかいことをおもしろく、
④おもしろいことをまじめに

上記①②は、「法律家の文章」のあるべき内容
上記③④は、(私の)「弁護士のブログ」のあるべき内容、
に当てはまる、と思った。

なお、上記引用文の《原文》には、若干続きがあり、
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」とある。