弁護士のブログBlog
「家裁のデタラメ」…とは?
- 2025-05-25
私の事務所では、離婚事件は殆ど扱わないが、私とて、医療裁判の協力医から離婚事件の委任を受けたり、顧問会社の前社長(現会長)から頼まれて、令嬢の離婚調停やそれに付随する面会交流事件を受任することもあり、一通りのことは経験している。。
先日、裁判所に出向いたついでに、弁護士会の書店によると、森めぐみ著「家裁のデタラメ」(星雲社;定価880円也)が数冊置かれていた。タイトルと、帯に「結婚前の男性必読!」と書かれてあることから、少ないながらも弁護士としての経験に照らし、中身は、だいたい想像がつく。
本を手に取って、パラパラめくると、ショート・ショートの「家裁のデタラメ」エピソードが59話と、「別居親Shが体験した試行面会」例で構成されているのが分かる。
依頼者の令嬢に、「参考資料として」この本を贈ってやろうかと思い、買って読んでみた。
案の定の内容であったが、特に笑えたのは、次のとおり。
[Episode49]「試行的面会交流で、(父親が)数年ぶりに我が子に会えたうれしさから涙を流したら『情緒不安定』だとマイナスに評価された。」
「別居親Shが体験した試行面会」から
「……
裁判所内の一角にある6畳くらいのプレイルーム。
マジックミラー越しに観察できる狭い通路のような部屋。
プレイルームの様子は3台の固定カメラで録画されている。
……
調査官の1名は、プレイルーム内に。
もう1名は、マジックミラー越しに。
自分(別居親=父)は、自分の弁護士と相手弁護士とともに、まずマジックミラー越しの狭い部屋に入る。
……
しばらくすると、息子と妻がプレイルームに入ってくる。
①同居親が15分
②別居親が30分
③同居親が15分
という流れに沿って進行される。
ずっと画面越しでしか会えなかった息子がマジックミラーの向こうにいる。
あと、ちょっとでリアルに会える。触れることができる。抱きしめることができる。
息子は走ってくるだろうか? 抱きついてくるだろうか?
自分なら大丈夫だと何度も言い聞かせてただただ待った。
自分の時間になり、部屋に入る。
開口一番『キミはむかつく顔をしているね』とニヤニヤしながら息子に言われた。
……」
だと? これは母親による「片親疎外」教育の成果ですな。
「別居親Sh」さんの名誉のために、…後日談。
「このマジックミラーでの試行面会を経て調査官調査の報告書には、月2回程度の面会交流を行うべき、との記載があった。」
だが、「別居親Sh」さんが息子に会えたのは、9ヶ月後。
「息子と9ヶ月振りに会ったとき、息子はこう言った。
『あ、前にさ、モノレールで行ってさ、会ったときあるじゃん』
『その時さ、パパと遊んだ時に着てた洋服と今日同じじゃん!』
遊んだ記憶になっていてほんとに良かった。」