北口雅章法律事務所

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パロディ 「検察=民弁:合同修習の課題」

[課題]
 君が,被害者から下記の被害申告を受けたとしよう。
 下記申告内容が,四囲の状況に照らし信憑性が高く,合理的な証拠上の根拠もあると判断できたと仮定して,検察官志望の修習生は,「起訴状」に記載すべき公訴事実を,弁護士志望の修習生は,「告訴状」に記載すべき告訴事実を起案しなさい。
                                               記

1 私は,寛政□□年□月□日午前□時に,悪代官Aの執務室に呼ばれました。
悪代官室には,悪代官Aとその腰巾着Bがいらっしゃいました。

2 悪代官A及び腰巾着Bは,私が「職務外で行っている」ツイッターについて,「今すぐ止めなさい。」と私に強く迫りました。
 悪代官Aは,「君は,ツイッターと岡っ引き(おかっぴき)の仕事のどちらが大事なのか。」などと私に迫り,「ツイッターを止めるように。」と激しい剣幕で私に迫りました。

3 ツイッターは一つの表現の場(であるとともに,私にとって気晴らしの場・時間)ですから,「私生活上行っているツイッターをおよそ止めなさい。」というのは,表現の自由(及び私生活における行動の自由)に対する明らかな侵害です。表現の自由に対し「過度に広範な制約」をすると,それだけで直ちに憲法違反(「ご法度」!!)になるということは,確立された法理だからです。
 しかも,代官室に呼び出して,悪代官Aと腰巾着Bとで,激しい口調で,私が私生活上行っているツイッターを止めるようにという,理不尽な要求を迫ったのですから,パワハラと評価されても仕方がないということもできます。
 しかしながら,とても激しい剣幕であったので,私は何も言えなくなってしまいました。

4 私が,激しい剣幕にもかかわらず,「ツイッターを止めます。」と口にせず黙ったままでいると,悪代官Aと腰巾着Bは,次に「(私が)ツイッターをやめなければ,分限裁判にかけて君をクビにしてしまうぞ!!」と私を脅し始めました。
 とりわけ,腰巾着Bは,私をたしなめるように,具体的に発言をされました。「君ね,今,お代官様がなにをおっしゃてるかわかってる? 君,さっき,ツイッターと岡っ引きとしての仕事を比べると,『岡っ引きの仕事の方が大事だ。』と言ったよね。でも,分限裁判でクビになってしまったら,岡っ引きの仕事はできなくなってしまうんだよ。君,そういうことわかってるの。」などの発言です。
 私は,岡っ引きをクビにされてしまうと聞いて,大変なショックを受けました。
 このような脅迫を伴う憲法違反かつパワハラな行為は,民事上の不法行為(「ご法度」)に相当することはもちろん,ツイッターをやめさせようと強要したのですから,刑法上の強要罪の構成要件(「ご法度」)にも該当しかねません。

5 このような辛い時間が一時間近くも続きました。(代官室からの)出がけに腰巾着Bは,私に向かって,「電話をするように。」と言いました。
 私が腰巾着Bに電話をすると,さらに,腰巾着Bは,念を押すように,私に対し,ツイッターを止めるように迫りました。それでも,私が,ツイッターを止めると言わなかったところ,腰巾着Bは,「君,変わってるね。」と私を侮辱する発言をされて一方的に電話を切られました。この発言は,私の感情を傷付けました。

6 私は,それ以来,睡眠が浅くなり,日中は,集中力を欠く状態が続いています。私が,1時間も続いたパワハラ行為と明らかに憲法に違反する違憲な行為によって精神的なダメージを受けたことは明らかです。
 しかも,今回,悪代官Aは,私を分限裁判にかけるための具体的な手続に着手されました。
 そのため,私は,昨日も,午前4時半頃に目覚めてしまい,そのまま寝付くことができませんでした。

 

[起案例]
A・B両名は,共謀の上,
 寛政□□年□月□日午前□時ころ,悪代官Aの執務室にて,こもごも被害者に対し,被害者が職務外で行っている私的なツイッターについて,「今すぐ止めなさい。」などと恫喝し,その要求に応じなければ被害者を失職させる旨告知して怖がらせ,義務のないことを行わせようとしたが,被害者がこれに応じず,その目的を遂げなかった,
ものである。