北口雅章法律事務所

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『ゴーン前会長の再逮捕』報道の意味するところ

日産・ゴーン前会長の「4度目の」逮捕について,
大手新聞各社が,今朝(4月5日)の朝刊一面で報じた。
「大本営発表」『朝日新聞スクープ』方式を採用せず,
全国紙でもない『中日新聞』等も普く「動員」して,同時一律に報じさせているのだ。
その意味するところは,
二つあると思う。

 

一つは,
「検察からの『捜査情報の漏洩』の動機・目的」だ。
新聞紙上では,取材源は「東京地検などによる」と注記されているが,
特捜部長(森本くん)が,検事総長・担当最高検検事・東京高検検事長・東京地検検事正の4者の決裁をとって,彼らと共謀の上,組織的に『捜査情報』を『漏洩』しているに決まっている(検察庁法7ないし10条。これを俗に『検察官同一体の原則』という。)。
そこで, 『逮捕報道』の『目的』は,いうまでもなく,
第1に,『国際世論』に配慮して,ゴーン前会長には,逮捕に値する被疑事実があること( 「実は,ゴーンって,もっともっと『悪いヤツ』なんだ!!」ということ)を(これでもか・これでもか,と波状攻撃的に)『国際社会』と『日本国民』にアピールすることで,『国際社会』(と,再逮捕によって,国際社会から『白い目』でみられないかぁ??と心配する『日本国民』)からの批判を逸らし,かわしたい,という思惑と,
第2に,ゴーン前会長の弁護団に対し,『まだあるんかい…。こりゃ大変だぁ…(刑事弁護なんて,ひきうけるんじゃなかったぁ…)』という後悔の邪念を引き起こし,公判準備・法廷闘争に向けた同弁護団の『闘志』を挫き,その『気勢』を削ぐこと。かくて,有罪立証を盤石なものにする,といった『狙い』があることは否定できまい。
ここが,日本の検察のイヤらしいところ

もう一つは,

『検察サイドの自信満々』の現れ,ということだ。
東京地検特捜部が「著名人の逮捕」に踏み切った,ということは,
被告人(ゴーン前会長)が,たとえ『全面否認』しても,
既に十分立件(『起訴』)できるだけの『基礎固め(証拠固め)』を完了したぞよ,
という自信の現れだ

つまり,①「オマーンの友人」(販売代理店「スヘイル・バウワン自動車(SBA)」)からの資金環流先が「ペーパーカンパニー」であることの裏付け資料と,
②平成27年12月から同30年7月までの間,
「ゴーン前会長から指示」を受けて,「故なく」「オマーンの友人」に対し,
合計約17億円の振り込みを続けた,日産子会社の「中東日産」(アラブ首長国連邦)の駐在員らの『裏切り』(検察との「司法取引」に基づく,「入念かつ綿密な」自白調書の完成)が背景にある,と思われる。

(かつて「自白は証拠の王様」といわれた時代があったが,この法諺の「自白」とは「被疑者・被告人の自白」を意味した。が,「司法取引」が立法化された今となっては,やはり「(旧身内・部下の)自白は証拠の王様」なのだ。)

久しぶりの「劇場型」「捕物帖」ですね。
日本社会のイヤらしいところは,
時に「勧善懲悪」というレッテルが貼られることだ。