北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

大崎事件で多数意見に組みした山口厚・木澤克之・両判事に告ぐ

あなた方は, 「ブラック判事」 アメリカ最高裁判事)が,
アメリカ最高裁判所の代表意見として書いたとされる,
「アノ」判決文を読んだことがあるのか!!?

 

フロリダの州裁判所によって死刑の宣告を受けた四人の黒人
に対する拷問の問題を扱ったときの「アノ」判決文を。

 

「 ― 1週間,一切の犯行を否認し続けた挙げ句,被告人たちはついに手をあげた。ちょうど(日曜日の)夜が明けようとする頃,州の役人達は,被告人から,州検事の『欲する』『役に立つような』何ものかを得たのだ。検事がやってきた。一晩中,尋問していた人たちの面前で,検事は,質問をし,返答を記録した。州が利用して,死刑の宣告をする基礎にしたのは,この自白である。

― 専制政府は,ずっと昔から,独裁的な刑事手続と刑罰を利用して,弱者,頼りなき政治的,宗教的もしくは人種的少数者,また違った意見をもち,服従をせず,専制に抵抗する人々を,犠牲の祭壇に供えてしまうのである。

― 今日でも,何代もの昔と同じく,ある政府のもっている,ねつ造した犯罪を独裁的に処罰するような強い権力が,専制の侍女となっているという悲劇的な証拠がないわけではない。わが憲法制度の下では,裁判所は,助けなく,弱く,少数であるために,あるいは偏見と社会的興奮の犠牲に供される反逆者であるために,これがなければ苦しむであろう人たちを,吹きすさぶ風から護るべき,いこいの港なのである」と。

あなたがた最高裁第一小法廷が果たしてそのように,
『助けなく,弱く,少数である人々』,あるいは,『偏見と社会的興奮の犠牲となる人々』を『吹きすさぶ風から』護り得ているかどうか。

あなたがたは,「弁護士出身の」最高裁判事でありながら,
「補足意見」も「意見」も書かない(書けない)し,
もとより「反対意見」も書かない(書けない)。

いつものごとく! 無教養で薄っぺらな判決しか書けない,サラリーマン判事よろしく,
多数意見にただただ迎合するだけの態度を貫いたこと自体で,
あなた方が,常日頃から何を願い(あるいは何も願っていないか),
何を最も貴重なものと信じ(あるいは,何も貴重だとは思っていないか),
どのような法律的論理を用いて,
その価値を実現しようとしているのか(それすらも考えていないのか)
ということが見え透いてしまっていることに,
愕然としてしまう。

国民の信頼と尊敬を失った最高裁なんかに,明日はない。

 

<出典・参考>

鵜飼信成著「憲法と裁判官 ― 自由の証人たち ―」(岩波新書)