北口雅章法律事務所

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実刑判決を受けた「三つ子の母」

下掲イラストは,名古屋高裁刑事部の公判廷での,
「被告人と裁判長との構図」適確かつ象徴的に捉えており,
 なかなかリアルで,エグい。

我が子を痛めつけたい,と正気で思う母親などいない。
孤立無援で,生後11か月の乳児の「三つ子」を抱え,
育児ノイローゼに陥った母親が,発作的・衝動的に犯した犯行であろう。
乳児を1メートルの高さから2回も畳に叩き付けて死亡させた所為は,
許し難いものではあるが,
母親が服役のため,残された乳児二名の母親喪失による悪影響を考えると,
やはり3年6月の実刑は厳し過ぎるのではないかと思う。
(夫や,被告人の両親,義父母は,どうしていたのか???)

そうかといって,
控訴を棄却した高裁裁判官も責められない。
実刑相当と量定したのは,「裁判員裁判」における裁判員らの「市民感情」であって,
たとえ法律家の立場からみて,違和感を感じても,
制度上,原審の判断を尊重せざるを得ないからだ。

(現実には,裁判員裁判でなくても,殆どの判決がそっけなく控訴棄却であろうが。)

双子であっても,夜中に代わる代わる
オムツを濡らしては泣き,ミルクが欲しいといっては泣く。
これが毎日続くのだから,かなり大変なんだが,
三つ子となると想像を絶する。

刑事弁護人としては,
「多胎育児の経験者に判断してもらいたい。」と思いたくもなるであろう。
WADASUのような…。