弁護士のブログBlog
伊方原発・差止仮処分決定に思う
- 2020-01-18
「国策」に反する判決・決定を下した裁判官は,
最高裁事務総局からにらまれ,大抵ほされる。
福井地裁の部総括(裁判長)として,
大飯原発の運転差し止めを認めた樋口英明判事のときが露骨だった。
同判事は,かつて平成14年から3年ほど,
名古屋地裁民事4部が医療集中部として発足した当時,
初代S部総括の右腕(右陪席)であられた関係で,
随分と,お世話になった。
そして,あの福井地裁判決・決定の後,
名古屋家裁に「天下って(?)」みえたとき,
偶然,裁判所のエレベーターの前で隣り合わせになったので,
こそっと,「お久しぶりです。アノ判決は素晴らしかったですね。」
と囁くと,ニヤッと笑い返してくれた。
それでも,自己の信念を貫き,
公正な判断を下す「気骨」のある裁判官,
「反骨精神」旺盛な裁判官は,今や絶滅危惧種。
伊方原発・差止決定の新聞記事をみて,
ほぉ,いまどき珍しい!!
さぞかし「有能な」裁判官に違いないと思いつつ,
どんな裁判官だろう???,
と顔を経歴に関心が移る。
すると,
読者のそのような関心に答えるかのように,
新聞社会面に,顔写真入りで裁判官が紹介されていた。
やはりそうか。
「定年退官」間際の「置き土産」だったか。
そして,われわれ世代の法曹関係者が思うことは,
多分,皆さん同じ。
「定年前の依願退官」ではなく,「定年退官」ということは,
運悪く(「違憲状態」判決の「前哨戦」や,国賠違憲判決もあって?),最高裁事務総局から「公証人のポスト」を用意してもらえなかった,
ってことなのかな。
それじゃあ,「意趣返し」じゃなかった,
一矢「お見舞い」したくなるわなぁ。