弁護士のブログBlog
[出題問題]
次の漢文の内容によれば,
上掲・模式図のうち,どの「住居」が適切か?
「室を卜して」って,どんな意味かなぁ??と考えていてはアウト!
「室」は,白川静先生によれば,もと祖先を祭る「へや」の意味であったが,後に人の住む「部屋,家」の意味になったらしいし,「卜す」とは,「占う」という意味かな?とも思ったが,岩波国語辞典によれば,「占って定める」の意から,「選定する」という意味があるらしい。しかし,こんなことを考える要領の悪い生徒は,たちどころにタイム・アップとなる。
「確実なところ」から「選択肢」を切り落とすのが,テクニック。
「南の江(=川)に扉(とびら=門)を啓(=開)」とあるから,
①④の選択枝が消え,②③が残る。
「谷川(澗)を堰き止め(激)て,井(井戸)を汲むに代える」とあるから,
井戸が描かれている,①③の選択枝が消える。
なるほど,②④の模式図をよくみると,川から水を引いている。
ここで,正解②に到達する。
慎重な受験生は,正解を確認するために,次の漢文も読むが,
時間に余裕がなく,あせっている受験生は,「脇目も振らず」次の問題に進むことになる。
ちなみに,「槿(むくげ)を植(挿)えて,垣(墉)に連(列)なるに当てる」とあれば,「槿(むくげ)」が何かを知らなくても,植物を家の周囲に垣根として植えるのだな,と理解して,土塀か石壁を垣根にしている③④の選択肢を排除することになる。
私は,コーユー「まるで知能テスト」のような問題が,
苦手で嫌いだった。
われわれが司法試験に挑んでいた当時,
たしか択一試験問題が,
昭和59年度までは,憲法・民法・刑法の知識を問う75問だったのに,
昭和60年度からは,「まるで知能テスト」の如く,
受験テクニックで勝負が決まる60問に変わった。
前掲・漢文の出題は,
あの嫌な「悪夢」のような受験時代を想い起こさせてくれた。
ありがとう。