北口雅章法律事務所

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円空仏(ENKU)入門7「 本物とレプリカの違い」

仕事で頑張ったときは,「自分へのご褒美(ほうび)」として,趣味にお金を使う。
このたびは,円空仏のレプリカを手に入れた。

桂峯寺(岐阜県高山市上宝町)所蔵のいわゆる「十一面観音」の胸部像だ。

(後藤英夫撮影)

 

実は,頭頂部に彫られた観音像の数は6仏なので,
「六面観音」というべき仏像である。

(上掲写真の拡大)

 

今般,手に入れたレプリカは,こちら。

さて,本物をどの程度忠実に再現しているか?
を検証してみることにした。

こちらは,本物の写真
(特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡」の図録より)

 

上掲写真を拡大すると・・・

 

さて,比べてみると・・・

文字通り「木目(きめ)細かく」再現されていることは解るが,
やはり微妙に違う(左が本物で,右がレプリカ)。

 

(覚書メモ)

前記図録の解説によれば,
上掲仏像の背銘には,
「頂上六仏 元禄三年」とあるから,
元禄三年の制作であり,その制作意図は,
やはり十一面観音としてではなく,
六面観音の造顕であったことがわかる。
上記背銘に続けて
「乗鞍嶽 保多迦嶽 □御嶽
 伊応嶽 錫杖嶽 四五六嶽」
の文字が墨書されているから,それぞれ
「乗鞍岳 穂高岳 大嶽(笠ヶ岳)
 焼岳  錫杖岳 双六岳」の意味であり,
六面観音の数と対応している。
したがって,上掲仏像の造顕から,
円空が,山岳信仰(山を神聖視し崇拝の対象とする信仰)をもっていたことが示されている。