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円空仏(ENKU)入門7「 本物とレプリカの違い」
- 2020-09-19
仕事で頑張ったときは,「自分へのご褒美(ほうび)」として,趣味にお金を使う。
このたびは,円空仏のレプリカを手に入れた。
桂峯寺(岐阜県高山市上宝町)所蔵のいわゆる「十一面観音」の胸部像だ。
(後藤英夫撮影)
実は,頭頂部に彫られた観音像の数は6仏なので,
「六面観音」というべき仏像である。
(上掲写真の拡大)
今般,手に入れたレプリカは,こちら。
さて,本物をどの程度忠実に再現しているか?
を検証してみることにした。
こちらは,本物の写真
(特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡」の図録より)
上掲写真を拡大すると・・・
さて,比べてみると・・・
文字通り「木目(きめ)細かく」再現されていることは解るが,
やはり微妙に違う(左が本物で,右がレプリカ)。
(覚書メモ)
前記図録の解説によれば,
上掲仏像の背銘には,
「頂上六仏 元禄三年」とあるから,
元禄三年の制作であり,その制作意図は,
やはり十一面観音としてではなく,
六面観音の造顕であったことがわかる。
上記背銘に続けて
「乗鞍嶽 保多迦嶽 □御嶽
伊応嶽 錫杖嶽 四五六嶽」
の文字が墨書されているから,それぞれ
「乗鞍岳 穂高岳 大嶽(笠ヶ岳)
焼岳 錫杖岳 双六岳」の意味であり,
六面観音の数と対応している。
したがって,上掲仏像の造顕から,
円空が,山岳信仰(山を神聖視し崇拝の対象とする信仰)をもっていたことが示されている。