北口雅章法律事務所

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過因(くわいん)の詩

道(い)ふこと莫(なか)れ

此(こ)の華(はな)今年発(ひら)くと

知るべし往歳(おうさい)種因(しゅいん)を下(くだ)すを

因縁(いんねん)相感じ枝幹聳(そび)ゆ
 
何(いか)に況(いは)むや
 
近日,早春に遇ふをや

 

<原文>

莫道此華今年発
応知往歳下種因
因縁相感枝幹聳
何況近日遇早春

 

<口語訳>

この花は,今年突然に咲いたのだと思い言ってはならない。
往年種子をまいたればこそ,いま花をつけたのだということを,
とくと知らねばならない。
因縁相応して枝も伸び幹も大きくなったのだ。
まして,今日このごろの早春の日差しにあえばこそ
さらに美しい花をつけ得たのだ。

 

この美しい詩は,弘法大師・空海の作です。

<出典>
「拾遺雑集」『弘法大師 空海全集 第7巻』所収(134頁)