北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

最高裁は,「因果的共犯論」を否定した!

 犯人自身が,自身の犯罪証拠につき「証拠隠滅」を行い,ひとりで「逃げ隠れ」するのは処罰されない。
 だからといって,その犯人が,「他人を巻き添え」にして,「証拠隠滅」を図り,自身を匿うよう他人を「教唆」することは,処罰に値する。他人を自己の利益のために「道徳的に堕落させる」ことは,国民感情としても許し難く,社会秩序の維持の見地からも処罰が求められる所為だからだ(責任共犯論)。
 今般,このような考え方に反する,平野龍一先生以下,東京大学法学部・刑法学の伝統的見解(因果的共犯論)が,前教授(山口厚・最高裁判事)の反対も虚しく,否定された。
 やはり,犯罪は,結果(法益侵害)の不法性(結果無価値)のみならず,行為態様の不法性(行為無価値)も考慮して,社会秩序維持の見地から考察されるべきであって,このような団藤重光名誉教授・藤木英雄教授らの見解を支持すべきだという私の考えは,学生時代から全く変わっていない。