弁護士のブログBlog
30年前,実際にあった「椿事(ちんじ)」
- 2018-03-02
書類を整理していたら,懐かしい「切り抜き」が出てきたので,
実際にあった,「30年前の椿事」を書きとどめておきたい。
今年は,2018年
「アノ」出来事があったのは,1988年(昭和63年)12月3日。
私が司法試験に合格する前年(受験中)に発生した。
J.S.BACHをこよなく愛する私は,アノ日,
バッハの「クリスマス・オラトリオ(Weihnachts-Oratorium)」(BWV.248)のコンサートがある,というので,
私は独り,武蔵野市民文化会館大ホールに出向いた。
指揮は,弁護士登録後,何度か通ったスタジオ「ルンデ」にも,
チェンバロを演奏にみえていた,小林道夫さん。
そして,上記コンサートの一番の「目玉」は,
日本が生んだ,国際的テノール歌手,
山路芳久さんの出演だった。
が,このコンサートで,実は,ちょっと残念なことが起きた。
私が「クリスマス・オラトリオ」の中でも,
最も大好きなテノールのアリア(独唱部分)【注】で,
山路さんが,「トチッた(?)」ように聞こえたのだ。
聴衆の殆どは,如上の「異変」に気づいてはいなかったようだ。演奏が終わった後も拍手はなかなか鳴り止まなかったからだ。
おかしい!! これは山路さんのアリアではない!
私としては,内心,他の聴衆の反応とは異なり,全てが台無しとなってしまったような気分になり,
正直なところ,ややガッカリして,下宿に戻ったのを覚えている。
ところが,
その後,まもなくのことだ。
何と,山路芳久さんの訃報に接したのだ。
ショックだった。急性心筋梗塞だ。
涙が出た。
私は,あのときの私の耳は「確か」なものだった,と今でも確信している。
繰り返し聞き惚れながら聞いていたが故に違和感を感じた,
アノ一瞬の声楽の乱調は,「悲しい予兆」だったのだ,
と,今でも思い返す。
【注】どの「アリア」だったかなぁ・・・と思い出しながら,曲を聞きかえしてみたら,
クリスマスオラトリオ第4部・第41曲の
「Ich will nur dir zu Ehren leben …」で始まるアリアだったと思います。
「お勧め」は,カール・リヒター(Karl Richter)指揮,ミュンヘン・バッハ合唱団の版だが,
YouTubeで聞きたい方は,
https://www.youtube.com/watch?v=pEYrN0FGqzg&list=RDpEYrN0FGqzg#t=0