北口雅章法律事務所

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円空仏の真贋「府中市美術館の責め方」

小島悌次理事長の紹介記事「円空仏の真贋 府中市美術館の場合」(令和6年7月1日発行『円空学会だより』季刊第212号)によると、先般、府中市美術館で開催された「ほとけの国の美術」展の図録『ほとけの国の美術』に、下掲スケッチの聖観音菩薩立像「円空仏として」掲載されているらしい。

 

 円空仏についてしかるべき素養のある方であれば、上掲・作品は、誰が見ても、「円空仏」とは思えない模造作品である。このような明らかな模造品が「円空仏として」出展されたということから(但し、途中で出展が中止されたもよう)、小嶋理事長(円空学会)が、上掲・作品の由緒・背景等について、同美術館宛にメールで問い合わせたところ、同美術館の対応は、「本像の真贋は、『見解の相違』である」と居直ったようで、その理由の詳細について回答を拒否しているらしい。

上掲・紹介記事には、「公的な場所(注:図録)で、円空仏と思われない像が円空仏として流布されていくのは、長く円空仏に関わってきた私(小嶋理事長)には憂慮に堪えない」と書かれているので、一学会員である私としては、府中市に対し、試しに、嫌味の情報公開請求をしてみることにした。

 

 

 同市の情報公開条例がネット上で公開されていないので、市民でない外部の人間に、請求資格が認められるか否か不明であるが、所定の書式の「開示請求者の区分」欄には「上記に該当しないもので公文書の開示を必要とする理由があるもの」と記載されていることから、どうやら請求資格者は、府中市民には限られていないもよう。もし「請求資格」が認めらるものの、それとは別の理由(例えば、公開の必要が認められない等)で、情報公開が認められなければ、その当否について審査会(市長の諮問機関)に審査請求をする、くらいまではやってみるとするか(本情報公開請求の公益性、具体的には、公立美術館の学芸員[=公務員]の資質を問う、公益上の必要性が否定される理由などないと思われるから。