北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「イケメン弁護士を不倫相手」とする不貞の証明

筆頭野党(民主党)の幹事長に当確だった山尾志桜里氏が,
センテンススプリグ(文春)の「不倫」報道
イケメン弁護士と「お泊まり禁断愛」2017年9月14日号)
のために,コケた。
 サユリスト(吉永小百合のファン)ならぬ
 自称「シオリスト」だったWADASUとしては,
 イロイロな意味で,誠に遺憾,残念至極である。

「文春」によれば,
「前原氏は散々迷った挙句,守りきれないと判断」したという。
一方,「9歳下」の「イケメン弁護士」君(倉持麟太郎氏。以下「彼氏」という。)
の方では,不倫を否定する旨のコメントを公表している,とのことである。

さて,もし仮に離婚訴訟あるいは不倫訴訟にもつれ込んだ場合,
「シオリン」が「黙秘権」を行使し,「完黙」したとして,
彼氏との「不貞」ないし「不倫」は証明されるであろうか。

 

もちろん,「密会」は「密室」(彼氏のマンション等)で行われていることから,
「不倫現場」は,いわば「ブラックボックス」であって,「不貞」の直接証拠はない
したがって,「彼氏」が「不貞」を「否認」するのは当然であるし,
「彼氏」としては,「否認」声明,「否定」宣言こそが,
「シオリン」への最大の「償い」であるとともに,「エール」のつもりであろう。
(この意味で,「男らしい」といえば,「男らしい」)

しかしながら,「法律家の眼」からすれば,
「彼氏」の「不貞否認」は,いかにも「無理筋」であって,
― 夫が,たとえ「辣腕弁護士」をつけなくても,―
「社会常識のある裁判官」に当たれば,
「不貞」は,――「文春」報道の内容が事実であるならば――,
 状況証拠(間接事実)から,容易に証明されよう。

WADASUは,「シオリン」と「彼氏」との間に,
不貞関係があったか否かについては,もとより,「全く関心がない」。
が, 「彼氏」が不倫訴訟の法廷に引きずり出された場合,「彼氏」は
後述の諸点について,「反対尋問」を浴びることが予想されることを,
覚悟せねばなるまい。

したがって,仮に私が「彼氏」から民事弁護を頼まれることがあったとしても,
たとえ「シオリンのためであっても」弁護のしようがない。
その理由について,念のため,若干解説しておきたい。
以下が,「不貞の状況証拠」であり,「不貞の証明」である。)。

 

⑴ 「シオリン」の夫は,「密会」の事実を聞いていない!

 「シオリン」としては,「疚(やま)しい」「密会」でない!と言い張れるのであれば,
 当然,夫に対し,「私,『9歳下の』『K君』と,これから政策等の打合せがありますので,
 今夜は,家に帰れません。」と断りを入れ,夫の了解を得るであろう。
  しかしながら,「おお,そうか。そうか。議員も大変だね。」などという
 聞き分けの良い夫はいない。「シオリン」レベルの才媛の夫であれば,なおのことだ。
 「9歳年下」と聞いただけで,「ツバメ」と思うであろう。
 (注:「燕」とは,「年上の女にかわいがられる若い男」の意[岩波・国語辞典])
 「夫との関係でも」「忍ぶアバンチュール(aventure)」であったことは,
 現に「シオリン」の夫の知人弁護士から,「彼氏」(司法修習第65期)が所属する
 第二東京弁護士会に対し,既に懲戒請求がなされていることからも窺い知れる。
 ちなみに,「彼氏」の妻も「寝耳に水」であったろう。
(軽い脳梗塞のため,実家に帰っていたという情報もあるが,大勢に影響はない。)

⑵ 深夜に,「彼氏」のマンションでの,「政策等でコミュニケーション」が必要ですか?

 「文春」によれば,
    ①8月28日午後8時,「シオリン」は「彼氏の」マンションに消え,
     翌午前4時半に「彼氏の」マンションから出てきた,とのこと。
 ②8月31日は,翌日の民主党代表選を控え,前日午後7時から,
   某ホテルで始まった「前原陣営の決起集会」を途中ですっぽかし,
 イタリアンレストランで「彼氏」と食事をとった後,9時半過ぎに,
 「件のマンション」に姿を消し,次に「シオリン」が姿を現したのが,約5時間経過後の
 午前2時半,「件のマンション」の中から,とのこと。
 なぜ,白昼堂々と,「議員会館のシオリンの執務室」,もしくは「彼氏」の「法律事務所」で,
 「政策等でコミュニケーション」しないのですか?
 (政策論議なら,公設秘書・政策秘書にも立ち会ってもらった方がベターでしょう?)
 という「ありきたりの」反対尋問を投げかけられただけでも,
 「彼氏」の方は,何を言ってもNG!!

⑶ 何故,わざわざ『時間差で』目的地に入るのですか?

 「文春」によれば,
    ①9月2日午後8時頃,「品川駅近くの高級ホテル」,「シオリン」が,
    「フロントでカードキー受け取ると,足早にエレベーターホールに向かった」後,
    「それから『約20分後』」,「彼氏」が「赤ワイン」等をもって,
    「東京の夜景が一望できる三十六回のダブルルーム」へ。
  ②「山尾氏は男と5メートルほどの距離を保ちながら歩き続ける。
   そして2人は,『時間差で』件のマンションへと消えていった。」という。
    「あのね。ラブホテルに入るんじゃないんだから,『時間差』を設ける必要ないでしょう?」
    と問われたら,「彼氏」は何と答弁するのか?
    有能な裁判官は,意外とこのような「心理の機微」に着目すると思われる。

⑷ 「週4回の逢瀬」は,ちょっと多すぎませんか?

    文春によれば,「本誌が確認しただけでも,代表戦を挟んで,
  二人は週に四回逢瀬を重ねている」とのこと。
    天下・国家に関わる政策論議であるならば,1回の打合せの後,
    次の打合せまでには,相応の準備や補充調査をしたうえで,次回に備える。
    全国を飛び回る代議士先生に,週四回の「会合」で,
    一体,何を話して,どのようなアウトプットがあったといわれるのか?
    「あんたも,好きねえ。」と言われるのがオチであろう。

⑸ 「足下(あしもと)」を見よ!

  早朝ホテルをチェックアウトした「シオリン」は,羽田空港へ直行,
 愛媛・松山の選挙事務所に飛んだ後,とんぼ返りで東京に戻った後,
 「驚くべきことに,帰京直後の午後4時,またしても」「彼氏」の事務所に立ち寄った後,
 「彼氏の」アウディで,自宅マンションに送り届けられたところを,
 「自信満々の」「文春」記者の「直撃」を受ける。
「―弁護士の倉持氏とはどのような関係ですか。
 『といわれましても・・・・』」
 そう,困っちゃうよねえ???
 『実質的には,私の政策秘書でありますとともに,私のブレーンです!!』
 と何故いえなかったのか。

 ストーカーよろしく,跡をつけ回された挙げ句に,
 あれだけのことを「文春」に書かれて,もし仮に「無実」であるならば,
 私ならば,「文春を訴えてやる!!」と宣戦布告する。
 スキャンダル報道をされた御仁は,「たとえ無実でなくても」「文春」を被告として,
 「名誉毀損」を請求原因として提訴する「形」はつくるもの。
 ところが,「彼氏」は,「弁護士資格」をもちながら!,そのようなファイトはなさそうだ。
 「懲戒請求」に対し,一方的な防戦を強いられるのがせいぜいのところであろう。

⑹ 「出来る裁判官」,「出来る弁護士」は,「先人の洞察力」をもつ!

 本居宣長先生曰く
 
 「よの法師など仰がるる人(尊敬される,ストイックな高僧),
  あるひは学者などのものしり人(又は,「謹厳な大学教授」)
  月花を見ては,あはれとめづる顔をすれど
 (月や花を見ては,ほぉ,素晴らしい,美しい!と賞賛する顔をするが)
  道ゆくよき女も顔見てはそしらぬ顔してすぐるはまことにや。
  (道行く美貌の女性を見ても,素っ気ない態度をとるが本心か?)
  もし月花をうるはしとめづる心あらば,
  など美しき女に心の動かざらん。例のいつはりなり
  (もし,月や花を美しいと思うなら,美女を見て,心が揺り動かない
   わけがない。例の偽善ですがな。)」(玉勝間)

 丸山眞男先生曰く

 「われわれの精神風土においては,『偽』の皮をひんむいていくと,
  その奧にはいつもきまって,善ではなくて,
  官能――それがどのように洗練されたものであれ――
  が『本性』として現れる仕掛けになっている
  自然主義がストリップ趣味となり,『人間的』な付き合いが『無礼講』に象徴
  されて来たことに,何の不思議があろうか。」

 (「偽善のすすめ」丸山眞男集・第9巻所収)

 

 

「シオリン」の「ブレーン」にしては,ちと「お寒い」ものを感じますよね。