北口雅章法律事務所

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韓国・最高裁よ。お前もか。

2018年(平成30年)10月30日
 韓国最高裁,「徴用工」訴訟 新日鉄住金に損害賠償命じる!

 

国際法上,戦争被害を受けた個人の救済(戦災補償)は,その個人が属する国家の国内法で救済されるべき性格の問題であり,ある国民個人の権利侵害は,その所属する国家の権利侵害の問題に吸収される,というのが国際法の常識である。

そこで,日本国・日本人が第2次世界大戦で犯した違法行為に基づく賠償責任については,日本国が相手国に対し一定の経済協力を行い,他方で日本・日本人の違法行為から生じた被害国・被害国国民の損害に関する一切の請求権が解決されたという国家間合意(平和条約等)が締結されてきた(大沼保昭著「国際法」東信堂221頁参照)。このため,戦災補償の問題は,原則として,被害者の所属する国内法の問題に解消され,被害者は,相手国やその国民に対し戦災補償の請求権を有しない。

日本国と韓国との関係においても,昭和40年6月22日に締結された「日韓請求権協定」(昭和40年条約第27号)において,締約国(韓国)及びその国民は,第2次世界大戦中に発生した,その財産・権利利益の侵害に基づく請求権に関しては,相手国(日本)及びその国民との関係において「完全かつ最終的に解決されたこと」が確認され(同条約2条1項),いかなる主張もできない旨規定された(同条3項)。

したがって,太平洋戦争中に,国民徴用令によって,朝鮮半島から「徴用工」として強制的に徴用された韓国人(当時は日本国籍)が,そのことを理由に,日本国籍の企業相手に賠償請求を求めて提訴しても,国際法の常識からすれば,そのような個人的賠償請求など容認されるはずがない

 ところが,韓国の最高裁判所は,昨日(10月30日),韓国人4名について,日本企業(新日鉄住金)に対し,1人当たり1億ウォン(約1000万円)の賠償命令をくだした。

「大道廃れて,仁義も廃れ,韓国の最高裁も腐った」か?。

 もし仮に…広島・長崎で被爆し,戦後,韓国に引き揚げた韓国人の方々が,アメリカ政府を被告として,ハーグ陸戦条約25条違反(無防備都市への爆撃禁止)を理由に,賠償請求すべく提訴した場合,韓国・最高裁は,この請求を認容することになるはずだが???