北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「仲武雄先生を囲む大分県弁護士会」の思い出

先日,4月17日(水曜日)朝日新聞「ひと」
のコラム欄に「弁護士」が登場していた。

「国籍法規定の違憲訴訟を担う弁護士」というタイトルで,
溌剌(はつらつ)とした感じの弁護士の写真がのっていた。

いわゆる「二重国籍を禁止」する国籍法11条1項が,
日本人が海外で活躍するチャンスを奪い(?)
憲法13条(幸福追求権)に違反する,という主張の
憲法訴訟らしい。

がんばってんだなぁ・・・,という思いで,
記事を斜め読みしかけてたところで,

「(弁護団事務局長は)大分市生まれ。
 弁護士だった祖父『自由な感じ』にあこがれ,
 法曹を目指して・・・」

だとぉ??
祖父が大分県弁護士会で,弁護士!
誰じゃい?

と思って,
名前を読み返すと
「仲晃生(てるお)さん」とある。

ってことは,祖父は,
「仲(武雄)先生」じゃん!!

・・・となると,私が司法修習時代にお世話になった
懐かしい大分県弁護士会の思い出がたちまち蘇る。

私が,実務修習を大分県弁護士会で過ごした平成2年当時,
仲武雄先生(弁護士,元判事)は,
大分県弁護士会でも「最長老」で,確か90歳を超えていたと思う。

既に「耳が遠く」なっておられ,杖を使われていたが,
弁護士会の会合にも元気に出席されてみえていたし,
裁判でも,法廷に立たれていたようだ。

元裁判官にして,最長老弁護士ということもあって,
当時,本庁関係実動部隊が約40名の小規模弁護士会だった,
大分県弁護士会では,常に上座で,敬意をもって大事に扱われていた。

が,いろいろウワサ話もうかがった。
仲先生は,既に「耳が遠く」なっておられため,
法廷で,相手方代理人(弁護士)が,
ボソボソっと話しただけでは聞き取れない。
で,
「ハぁ??」
とつい大声が出る。
若干,声が大きくなっても,聞き取れない。
「ハぁ??」
という,大声が再び繰り返される。
やがて,裁判官の中には,面倒になって,
仲先生を適当にあしらってしまった方がいたようだ。

するとどうなったか?

仲先生は,怒りに震えて,
大分地裁所長室に自ら直接出向き,
所長判事に対し,烈火の如く怒って怒鳴り込む。
「あの,○○判事は,冷たい!!」,「けしからん!」
・・・,ってなことがあったらしい。
大分地裁の所長判事は,裁判所の幹部であるが,,
当然,仲武雄先生の方が,判事としては「先輩格」であることを
重々承知している。
「先輩,すいません。よくよく注意しておきますから。
 ここはお引き取りください。」
などと,平謝りで,仲「先輩」のお気持ちを鎮めるのが大変だった,
というウワサが,裁判所内部から漏れ聞こえてきた。
あるいは,同期の司法修習生(現弁護士)のお兄ちゃんが,裁判所書記官だったので,
彼からの情報だったかもしれない。

で,笑った。

アノ仲先生のお孫さんなのね。
頑張ってください。