北口雅章法律事務所

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長沢芦雪展(2017.10.6 – 11.19)

 

  今日(10.29)は,所用で栄に出た際,愛知県美術館に寄って,長沢蘆雪の美術展を観てきた。
江戸時代の画家・円山応挙(1733-95)は,日本史の教科書に出てくるが,その弟子であった長沢蘆雪のことまでは書かれていない。
 中国(明・清)の南画の影響を受けた池大雅や,与謝蕪村が「主観的な内容を主とした」のに対し,円山応挙は,「客観的な写生」を重んじ,「洋画の遠近法をとりいれて立体感を出したが,徹底的なリアリズムには達しなかった」というのが,約30年以上も昔の「山川の教科書」の評価である。

 

 


 そうはいうものの,「師匠である」応挙の作品(上掲・左)と,それを踏まえた蘆雪の作品(上掲・右)を並べて展示してしまうと,流石に「師匠」の方は,歴史の教科書に名前が出てくるだけのことはあり,同様に,師匠のモチーフと類似する作品について,師匠の作品とを並べて,鑑賞者に比較対照させるように展示するのは,ちと酷な気がした(小さい写真では,違いは分かりにくいでしょうが。)。

 もっとも,蘆雪は,ユーモラスな南画の作品(例えば,「竹」の絵の下に「犬」を描き,鑑賞者をして漢字の「笑」を想起させて,笑いをとる等)も多く残していて,応挙の作風ばかりを追い求めていたわけではなく,むしろ南画の方に佳作が多いように思われる。