弁護士のブログBlog
「馬頭星雲」のロマン
- 2020-05-07
机の引き出しを開けたら,かつての依頼者(Yoshi君)からの書簡があり,それに貼ってあった切手の模様がちょっと気になり,よくみると,「馬頭星雲」と書いてあった。
そんなものがあるとは知らず,調べてみると,オリオン座にある暗黒星雲のことで,馬の頭に似た形の「黒いシルエット」として撮影できるので,天文写真マニアの格好のターゲットとなるらしい。どうやら,日本郵政の方は,切手の図柄を採用するにあたって,馬頭星雲が何たるかを知らず,絵柄の方向を間違えてないか?
前掲・切手の絵柄では,馬のクビが横を向いて,馬の頭が「仰向け」になっているように思われるが・・・。
ヨーロッパ南天天文台が撮影した「馬頭星雲」(The Horsehead Nebula)はこちら。
ちなみに,円空仏ファンとしては,「龍頭星雲」と命名してほしかった。
勿論,「馬頭星雲」の形状は,「善女龍王」の頭部の「龍」に似ているからだ。
小島梯次先生(円空学会理事長)によると,
頭上に龍が彫られた円空仏は,すべて「善女龍王」であって,
「龍頭観音」は一体もない,とのことである。
小島先生が上記見解の根拠とされるところは,①円空が仏像の頭上に龍を彫った像は合計46体あるところ,そのうち5体の背面に「善女龍王」と記載されているが,「龍頭観音」と背銘に墨書された像は一体もないこと,及び②当時の農民にとっての需要は干ばつ被害対策としての「雨乞い」であったから「善女龍王」が相応しい,とのことである(「円空仏入門」73頁)。
特に異論を差し挟む余地はないが,素人ながら私が思うに,単純に,そもそも「龍頭観音」の方は,「龍の」頭の上に観音が乗るものであって,「善女龍王」の方は,「龍を」頭の上にいだくものという違いがあるのではないかな?と思うのだが。
■古代中国の龍頭観音の絵
■神明社(岐阜県郡上市美並町)の神像
以下は,円空の名作「善女龍王」
■光厳寺(富山市五番町)
■松見寺(岐阜県関市)
■園城寺(滋賀県大津市)
■観音寺(名古屋市瑞穂区)
■岐阜県上宝村
ちなみに,円空の「馬頭観音」を見たい方は,
龍泉寺(名古屋市守山区)へ!