北口雅章法律事務所

弁護士のブログBlog

「司法改革の失敗」を鮮明に示すデータ

某大学医学部での講義を控え,講義資料を準備中ナウ

例年,「医療裁判の認容率」に関する統計データを示し,
医学部生を相手に,何故,「医療裁判の認容率」(患者側の勝訴率)が著しく低いのか?
について,講義で解き明かす。
平成30年の患者側・勝訴率は18.5%
令和1年の患者側・勝訴率は17.0%で,目も当てられない状況が続いている。
(私の講義では,「医学部学生諸君よ!,医療裁判で勝てばいい,ってもんじゃないんだよ。」ということを諭す機会にしている。医療裁判を起こされること自体で受ける,医師の心理的負担・ストレスは相当なものであることは察するにあまりあるからだ。)

通常訴訟であれば,原告側の勝訴率は80%を優に超え
(令和1年度の通常訴訟の原告側勝訴率は85.9%)
医療集中部発足当初(平成15年)の医療訴訟でも44.3%の勝率があったにもかかわらず,何故,勝率が20%を割り込むのか?

裁判官と,患者側弁護士のレベルの低下と,無関係ではありえないことを考えると,私の講義では,必然的に,2002年頃から本格化した「司法改革」との関係に言及せざるを得ない。

司法試験の合格者数が増えると,必然的に,合格者=法曹の質・レベルも低下する。

 

司法試験合格者の数を増やしすぎて,その質・レベルが低下すれば,
必然的に,将来の裁判官・検察官・弁護士の質・レベルが低下していき,
法曹界全体が「沈没化」傾向になる。そこで
その巻き返し策としては,司法試験合格者数を減らすことにならざるを得ない。
最近の司法試験合格者数が1500人前後にしぼられてきているが,
それでも,なお供給過剰のきらいがある。
もっとも,法科大学院卒の司法試験合格者数の減少傾向が,のきなみ如実に示されている。

(ちょっと,中央大学さん,早稲田さん,旧司法試験時代よりも,合格者数が減ってませんか?・・・いやいや,中央・早稲田にも予備試験組はいる?)

 

「法科大学院組」にかわって,急激に増えているのが,
「法科大学院」を経由しない「予備試験組」の司法試験合格者だ。
(すなわち,予備試験によって司法試験受験資格を得て,司法試験を受け,合格した受験生の数が,やたらと増えてきている。)

 

(出典:https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00945/)

こんなデータをみると,
やっぱり「法科大学院などいらなかった!!」と考えざるをえない。