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富岡八幡宮・元宮司に読ませたかった,空海作「恵果和尚の碑」

真言密教の開祖である弘法大師・空海が,遣唐使として(唐都・長安に)留学中,
その恩師である恵果(けいか)和尚が遷化(死亡)された際,
その徳を讃えて執筆した文章が,
「恵果和尚の碑」(正式には,「大唐神都青龍寺故三朝の師灌頂の阿闍梨恵果和尚の碑」)
である。
当該碑文の中で,恵果和尚の人柄を叙述した部分として,以下のくだりがある。

[原文]
「…縦使(たとひ)財帛軫(しん)を接し,田園頃(けい)を比(なら)ぶるも,
受くる有りて貯ふること無く,資生を屑(いさぎよ)しとせず。
或いは大曼荼羅(まんだら)を建て,或いは僧伽藍処(そうがらんしょ)を修す。
貧を済(すく)ふには財を以てし,愚を導くには法を以てす。
財を積まざるを以て心と為し,法を恡(を)しまざるを以て性と為す。
故に,若しくは尊,若しくは卑,虚(むな)しく往きて実(み)ちて帰り,
近き自(よ)り遠き自り,光を尋ねて集会(しゅうえ)するを得たり。」
(「遍照発揮性霊集・巻第2」『弘法大師・空海全集・第6巻』筑摩書房所収)

[現代語訳]
「(恵果和尚は)…たとえ,数多(あまた)の財宝・田園などを寄進(寄附)されても,
受け取るだけで貯えようとせず,財産作りをいさぎよしとしなかった。
(寄進を受けた財産については)あるいは大曼荼羅の制作費にあて,あるいは,
寺院の建設費にあてられた。貧しい方には,惜しみなく財貨を与え,
愚民を導くには,仏法を説かれた。
財貨を貯蓄しないことを方針とし,仏法の教授に力をおしまないことをモットーとした。
それ故に,尊貴な者も卑賤の者も,空虚な身で(恵果和尚のもとへ)出かけて満ち足りて返り,
遠近から多くの人々が,光を求めて集まる結果となった。」

 

方や,

富岡八幡宮・元宮司の行状は?といえば,「文春」によれば,・・・

<姉>
・新宿歌舞伎町のホストクラブに入り浸る。
(毎週,運転手付きお高級車で現れ,VIP席で飲んでいた。)
・「うちの家には,一千万円の錦鯉がウジャウジャいるのよ」と自慢。
・高級ワインやシャンパンを飲み,支払いは毎月200万円以上。
・[弟の準備書面によると]「神社団体の役員に屋形船で酒を飲ませ,
銀座の高級クラブに案内して一晩で百万円を使った。住まいには犬が二十匹おり,
神社の儀式殿で犬の品評会を開いた,犬専用のワゴン車を600万円で購入。」

<弟>
・錦糸町などのフィリピンパブ通いが原因で,一人目の妻と離婚。
・二人目の妻との婚姻中も,老舗クラブ『N』(銀座)に足繁く通い,
 ホステス(後に三人目の妻)を愛人にする。
・二人目の妻との間に生まれた子を宮司職舎から追い出す。
・富岡八幡宮からは1億2000万円の退職金。
・退職後も,65歳までは月額30万円の宮司年金を受給。
・宮司解任の翌年,東京・上野の新築マンション最上階の一室を5000万円以上で購入。

かくて,「週刊新潮」は報じた。

「本誌に届けられた(元宮司の)遺書には 〈私は死後に於いてもこの世(富岡八幡宮)
 に残り,怨霊となり,(中略)永遠に祟り続けます〉 と綴られている。果たして,
 予告通り犯人は神社の敷地で自害したのである。その「怨念」がこもる場所に,
 初詣に行く人はいるだろうか。」と。

そうだろうか?

元宮司の手になる今回の「殺害+自害」事件は,「神罰」(神意)ではないか。
だとすれば,本神社におわします神様(応神天皇?)は,至極正当な判断を示した,といえよう。
だとすれば,例年にも増して,観光客を含む参拝客が増えるのではないか?