田中優子さん（法政大学・前総長）が語る自叙伝が，目下，朝日新聞に連載されている。
しかしながら，われわれが，学者の学問・研究に関心をもつのは，
あくまでも研究「対象」あるいは，研究「成果」であって，研究「者」自体，その人格・生育歴ではない。したがって，学者が自身の研究対象を語るのは理解できるが，学者自身の「波乱の（？）」生涯を語るのは，所詮「ナルシズム」ではないか，と通常は思う。
　このため，田中優子さんの専門分野である，江戸の社会・文化自体には，（円空の時代背景を除き）特段の関心のない私としては，田中さんの連載記事は，写真だけ見て読まずに，すっ飛ばすことになるのだが，・・・

 

だが，ふと田中優子さんの関心対象の中に，私と共通のものがあることに思い至ると，俄然，彼女に対する関心も出てくる。実は，私が崇拝してやまないマンガ家「白土三平」の作品の中に，「カムイ伝」があるが，昔読んだ書棚の中の本に，彼女の著書があるのに今頃になって，気付いたのだ。