北口雅章法律事務所

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「白洲正子」って,何様?

「控訴審から」受任した訴訟事件に係る名古屋高裁の法廷(第1回口頭弁論)で,今日(令和4年3月8日),久しぶりに同期のO先生に会った。O先生が,クラッシックレコード□万枚のコレクターであることは,わが愛知県弁護士会では有名であるが,法廷後,立ち話をしていたとき,O先生が「『白洲正子』と『白洲次郎』夫妻が愛用していた稀少な蓄音機(骨董)と同じ製品を手に入れた!」と嬉しそうに話してくれたので,「ややっ,またしても『白洲正子』かぁ…」と思った。

白洲正子』と聞くと,
白洲正子が愛した観音様(円空作・十一面観音)」が頭に思いうかぶ。

 

前円空学会理事長の長谷川公茂氏の著作『円空 微笑みの謎』(中経出版)に出てくる謳い文句であるが,「白洲正子が愛した」から何なんですか?!と,尋ねたくなる。同著の表紙にも,円空が伊吹山太平寺に遺した十一面観音像が出てくる。

『白洲正子』氏が,明治生まれの文化人として,社会的に認知された人物であろうことは,想像できるが,彼女が,いったい円空の「何を」,「どの程度」理解されているのか? と常日頃,疑問に思っていた関係で,実は,先日,昆虫標本画と,折り紙の本を書店で購入した際,目に付いた白洲信哉編『白洲正子 祈りの道』をも購入しておいた。多分,太平寺旧蔵の円空作「十一面観音像」のことが書かれているであろことが予測されたからだ。白洲信哉氏は,細川護煕元首相の公設秘書の経歴をもつ文筆家で,父方の祖父母は,白洲次郎・正子,母方の祖父が小林秀雄(文芸評論家)であるとのこと。

 

「案の定」の理解であった。

太平寺旧蔵の十一面観音像にみられる鱗状の衣紋が,「伊吹山の龍神信仰」を示唆するとの指摘は正しいと思うが,「円空には人がいう程私は興味を覚えない」「円空の彫刻には,誰でもそういうことを感じるが,時には表に出すぎて,内面的な力に欠ける場合もある」といった表現が鼻につく。
 そう思うなら,円空仏を取り上げるな!,単なるディレッタンティズムは,信仰・崇拝の対象に対し,否定的なことを口にすべきではない,とつくづく思う。